【日韓戦①現地リポ】 ヤングジャパン厳しい船出 魂を欠いたタックル (2/2ページ)
間違いなく、ジョセフHCが提示するのはスマートなラグビーだが、その前提にあるのは「アグレッシブでディシプリンのあるディフェンス」。
彼が作り上げたハイランダーズのラグビーを振り返ってみても、激しいディフェンスがベースにあることは容易に理解できる。
韓国戦の最初のアタックでいきなりトライを奪ってみせたように、このチームがトライを取る能力に長けているのは確か。
逆に、いとも簡単にトライを取ってしまったことで、ジョセフ・ジャパンラグビーの本質=激しいディフェンスが基本という絶対鉄則をどこかに置き去りにしてしまったのかもしれない。
15人制と同じように、新たにニュージーランド出身の指導者を迎えて、同じように若いメンバーで新しいスタイルにチャレンジしている男子セブンズ日本代表は、シンガポールセブンズでも最下位に沈むなど苦しい戦いが続いている。
そのカラウナ・ジャパンのスタートだった昨年12月のドバイセブンズ時、次々にタックルを外される若い日本人選手に対して、ダミアン・カラウナHCは厳しく言い放った。
「経験がないと言っても、彼らはラグビープレーヤーであり、タックルの仕方は知っているはず。一番は気持ちの問題。タックルをしたいのかどうか」。ラグビー王国ニュージーランドでは当たり前のことが、日本の若い選手には根付いていないのが現実なのだろう。
穏やかに「アタックのことを考えすぎだ」と語ったジョセフHCも同じ気持ちだったのかもしれない。
日本代表のあるスタッフは「彼らはキャップ1のまま終わるのではないか」と漏らしたが、温厚なジョセフHCが公言するように「次のチャンスは与えられる」のは確かだろう。
ただし、セカンドチャンスでも同じ失敗をすれば、3度目がないことは覚悟しておいた方がいい。
1週間後の秩父宮で、まわりと常にコミュニケーションを取りながら、死にもの狂いでタックルにいくヤングジャパンの姿が見られたなら、15年ぶりに韓国に5トライを奪われるという失態も意味があるものになる。
(文:出村謙知)