乳がんが骨へ転移している場合はステージ4 気になる症状や治療法とは?

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乳がんの中でも厄介なのが転移による再発ですよね。

乳がんは骨や肺、脳など様々な場所に転移し、私たちの体をむしばんでいきます。

今回はその転移しやすい乳がんの中でも、骨へ転移した場合の症状や治療法について紹介していきます。

要チェック項目
□乳がんが骨へ転移している場合はすでにステージ4の段階
□骨へ転移した場合、その箇所が痛んだり骨折したりなどの症状がみられる
□完治させる治療よりは、症状を和らげる治療が行われる 乳がんが骨へ転移しているのはステージ4の段階乳がんが骨へと転移している場合、すでに症状がステージ4へと移行していることを表します。

もともと乳がんは他のがんに比べても症状の進み方は緩やかといわれているのですが、その分他の箇所へと転移してしまうことも多く、骨・肺・脳などに転移するとステージ4と呼ばれます。

そしてその中でも最も転移しやすいといわれているのが骨です。腰椎、胸椎、背骨、骨盤、肋骨、頭蓋骨、上腕骨、大腿骨などなど、様々な場所の骨に転移してしまいます。

ただし、ひじやひざから先には転移せず、体の中心ラインにある骨に転移するのが特徴です。

骨への移転は乳がんの手術を行ってから大体数年以内で見つかることが多いのですが、中には10年以上たってから転移が発見されたという人もいるので、術後の調子がいいからといっても油断はできません。 乳がんが骨へ転移した時の症状乳がんが骨へ転移してしまった場合、いったいどのような症状が現れるのでしょうか。

転移した箇所が痛む
まず最も多いのが、転移した箇所が痛むということです。例えば腰椎や骨盤に移転しているのであれば腰周りが痛み始めますし、胸椎や背骨に移転していれば背中が痛みます。

はじめは違和感程度の軽い痛みだそうですが、次第に痛みが強くなっていき、病院で診察を受けたら…というパターンが多いようです。

骨折
乳がんが骨へと転移すると、「破骨細胞」と呼ばれる細胞の働きを活発にしてしまいます。

骨には骨を作り出す「骨芽細胞」と、骨を壊す「破骨細胞」があり、この2つが毎日交互に活動することで、常に健康で丈夫な骨が保たれます。

しかしがんが転移したことによって破骨細胞の働きが活発になってしまうと、当然ながら骨が弱くなり、骨折しやすくなってしまうのです。

姿勢を変えようとしたときなど、ちょっとした拍子で骨折することもあり、激しい痛みを伴うもの特徴です。

脊髄圧迫
また骨折の箇所などによっては脊髄が圧迫されてしまいます。

脊髄には手足の動作に関する重要な神経がたくさん通っていますから、ここが圧迫されてしまうとされてしまうと手足が思うように動かせなくなり、筋肉低下や半身マヒなどにつながってしまうのです。

こうなってしまうと日常生活もままならなくなってしまうので、早急な治療が必要です。手足が思うように動かせないと感じたら、すぐ病院で診察を受けるようにしましょう。

高カルシウム血症
高カルシウム血症とは、血中のカルシウム濃度が高くなってしまう現象です。乳がんの場合は、破骨細胞が活発化することによって、骨が維持できなくなり、骨中のカルシウムが血液に溶けだしてしまうことで起こります。

血中のカルシウム濃度が高くなると、喉が渇きやすくなったり、便秘になってしまったり、食欲減退、疲労、吐き気などの症状が表れます。

重度になると意識混濁や幻覚などを伴う場合もあるので、こちらも早急な治療が必要です。 乳がんが骨へ転移しているかは検査で分かる乳がんが骨に転移しているかどうかというのは、検査をすれば簡単にわかります。がん細胞に対して反応する「腫瘍マーカー」というものがあるのですが、これを使って検査をして、反応があれば転移している証拠です。

ただし腫瘍マーカーだけでは細かい場所までは分からないので、順次精密な検査が行われます。

骨シンチグラフィー
別名「骨スキャン」とも呼ばれる方法です。骨の反応が活発化(=がん細胞が活発化)しているところに集まりやすい「リン酸化合物」を含んだ薬を静脈から投与し、その後ガンマカメラで撮影します。

薬の中には「テクネチウム」といってカメラで撮影すると黒く映る物質含まれているので、撮影された写真のがん細胞付近は、黒く写るというわけですね。

この検査では腫瘍マーカーでは把握しきれないほどの小さな骨転移でも発見することができますし、全身を調べることも容易なので、骨転移の検査としては最もポピュラーです。

PET-CT
がん細胞は私たちの体と同じくブドウ糖をエネルギー源としているのですが、それを利用してブドウ糖を含む18F-FDGという薬を静脈から注射していきます。

さらに薬にはポジトロン核種という物質が合成されているのですが、この物質は周りの電子と反応するとγ線に変換される特徴があり、これが目印となってがん細胞の場所を突き止めることができるというわけです。

つまり18F-FDGを投与すると、まずはブドウ糖の働きのおかげで薬ががん細胞が存在しているところに集まり、そしてポジトロン核種によってそこが撮影した際に目立つようになるということですね。

簡単かつ安全に全身の骨を検査することができるのですが、小さすぎる腫瘍は発見できないということもあり、精密な検査を行う場合は骨シンチグラフィーの方が優先されることがほとんどでした。

MRI
乳がん以外の検査でもおなじみの装置ですね。強い磁力を出している装置の中に入り、磁気の力を利用して体内を撮影する検査です。

精密な検査を行うことができるのですが、全身を一度に検査できるわけではないので、やや手間がかかるのがデメリットです。 乳がんが骨へ転移した場合の治療法乳がんが骨に転移している場合、抗がん剤治療やホルモン治療などが行われます。また痛みがあったり、骨折の恐れがある場合は放射線治療が行われる場合も視野に入るでしょう。

抗がん剤治療
抗がん剤治療では、腫瘍を縮小させる効果のある「アントラサイクリン系抗がん剤」や「タキサン系抗がん剤」などが処方されます。

乳がんが転移していない場合は多剤併用療法といって、だいたい2~3種類のもの1セットとして組み合わせて使っていくことが多いですが、

転移性のがんの治療の場合には1種類の薬を順番に使いながら治療していきます(単剤順次投与)。

ホルモン治療
がん細胞は女性ホルモンであるエストロゲンをエサに増殖していきます。なのでこのエストロゲンを抑制するようなホルモン剤を投与して、がん細胞の増殖を抑えていきます。

エストロゲンは閉経前と閉経後で作られるメカニズムが異なっているため、年を取ると薬が変更になる場合があります。

放射線治療
がん細胞にX線を照射して行われる治療法です。X線を当てられたがん細胞は働きが鈍くなり、増殖を抑制したり死滅させたりすることが可能となります。

細胞周辺のみをピンポイントで治療できるため、体への負担も比較的少ないというメリットもありますね。

ただし一度照射した場所に連続して治療を行うと、副作用のリスクが高まってしまいます。

そのため多くの医療機関では25~30回に分けて治療が行うため、治療が完了するまでにかなりの時間がかかってしまうことがデメリットです。

骨転移に限らずステージ4へと移行している場合、完治させるのは非常に難しいです。

そのため、完治を目指してがん細胞を摘出するような手術などはあまり行われず、むしろ薬などで患者さんの苦しみを取り除くことで、生活の質(Quality of Life)の向上させる方に努めます。 ステージ4の乳がんとは共存していく気持ちが必要最初に説明した通り、骨に転移している場合はすでにステージ4と呼ばれる状態です。ここまで進行してしまうと、完治させるのは非常に難しくなってしまいます。

とはいえ、あまり悲観的になってはいけません。もともと乳がんは他のがんに比べて進行が緩やかなのですが、骨に転移するとさらにゆっくりとしたペースになります。

実際に骨に転移していることが分かってからも10年以上も元気に過ごされている方もいます。

仕事に復帰しているという方だっています。もちろんすべての人がそうというわけではありませんが、がんとうまく付き合いながら前向きに生きていくという気持ちは非常に重要でしょう。 乳がんのことをもっと理解しよう以前だと「がん=死」というイメージを持っているという方がかなり多かったかと思います。ですが今の医療技術では、必ずしもその図式は当てはまりません。

乳がんが再発しても、治療を続けながら寿命を全うしているという方だっているのです。

まずは乳がんのことをもっとよく知って、自分がかからないように気を付けるとともに、周りに乳がんの方がいるのであれば励ましてあげましょう。

(監修:Doctors Me 医師)

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