【医師監修】いぼ痔は自力で治せる? 原因と自宅でできる治療

マイナビウーマン

密かにいぼ痔の悩みを抱えている人は少なくないのではないでしょうか。あまり人に相談できないので、どう対処したらいいのかわからないですよね。そこで今回は、いぼ痔の症状や原因、ケア方法を医師の加藤淳先生に解説してもらいました。

■いぼ痔の症状って?

はじめに「いぼ痔」は俗称で、正式には「内痔核」と呼びます。直腸下部から肛門部分との境(歯状線と呼びます)の粘膜の下に、ふくらんでこぶ状になったもの(静脈瘤)が内痔核の本体です。

一般的症状は排便時の出血や残便感、内痔核の脱出です。痛みに関しては程度によりますが、初期はほとんどない場合が多いです。痛みのない出血の場合、非常に大事なポイントは直腸癌や大腸癌などの悪性腫瘍、さらに比較的若年層では炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病等)との見極めが必要になります。

ちなみに「外痔核」というのは血の塊である「血栓」が肛門周辺に生じたもので、見た目はまさに黒い血豆様のこぶ。「内痔核」と比べかなりの痛みを伴います。

■内痔核の主な原因

(1) 排便時の過度な「いきみ」

主に、慢性便秘症の症状です。排便時、過度に「いきむ」と、内痔核の原因に。また、下痢の場合も内痔核になりやすいです。

(2) 妊娠・出産などにともなう骨盤内静脈のうっ滞

妊娠や出産などで子宮全体が膨らみ、骨盤内が圧迫されると、直腸下部、肛門部の静脈の血流が停滞します。

(3) 飲酒、香辛料などを過度に摂取

飲酒や香辛料などを過度に摂取すると、肛門周辺にある静脈の血流が停滞します。

(4) 肝硬変などで門脈圧亢進の状態

肝硬変などで、肝臓の病気である「門脈圧亢進」の状態になると、骨盤内にある静脈が停滞する場合があります。

■いぼ痔は放置しても大丈夫?

いぼ核は、進行の程度によって1~4までのステージに分類されます。(※上を参照)大まかな治療法をまとめると、ステージ1、2は保存療法(手術なし)で、ステージ3、4は直腸肛門専門クリニックでの診察と治療(手術あり)が必要です。

◇ステージ1

排便に出血を伴います。肛門外に内痔核は脱出しません。食生活や生活習慣を改善しましょう。特に、慢性便秘や下痢をするときのいきみを改善してください。

◇ステージ2

排便時に内痔核が脱出しますが、自然に戻ります。ステージ1の治療に加え、いぼ痔用の軟膏や坐剤を使用しましょう。

◇ステージ3

排便時に内痔核が脱出し、手で戻す必要がある状態です。病院での治療が必要になります。

◇ステージ4

排便時以外も常に脱出している状態。入院して、治療しましょう。最近は、女医の先生も増えてきているので、男性の医師だと恥ずかしいと思う人は、前もってネットで調べて、女医の先生が外来をしているクリニックを受診するといいかもしれません。

■いぼ痔は自力で治せる?

前述のステージ゙の度合いによります。ステージ1、2では自力で治療することが可能です。しかし、ステージ3,4では、直腸肛門の専門医の診察と治療が必要となります。判断基準として、排便時の肛門付近の違和感や残便感に加え、内痔核が肛門の外に出て、毎回指で押し入れる必要があるかチェックしてみましょう。

■自宅でできるいぼ痔のケアって?

(1)いきみを改善する

40代の場合、まずは直腸・大腸の悪性腫瘍がないことを確認することが前提です。そしてステージ1、2のいぼ核は、基本的に慢性便秘症(慢性の下痢でも)に伴う「いきみ」を改善することが非常に大事なポイントでしょう。トイレでの滞在時間(特にいきみ時間)を短くすることが大切です。

(2)食物繊維を摂取する

硬便であれば、食物繊維(水溶性不溶性食物繊維のバランスを考慮し)や水分を多く摂りましょう。ウサギのうんこのようなコロコロした形状の便から、熟成したバナナのように「いきまず」にする~っと出る便の形状になっていれば、硬便が改善されてきた証拠です。

(3)エクササイズをする

市販の下剤に頼りすぎず、規則正しい食生活と、腸の自律運動を高めるエクササイズを毎日実行しましょう。

(4)排便時の姿勢を意識する

意外と知られていないのが、トイレでの排便姿勢。理想はスクワットの姿勢です。ただ、和式トイレは、その姿勢がとれていましたが、現代は洋式トイレが普及しているので、難しいです。なので、洋式トイレでの排便は、ロダンの「考える人」のように、やや”前傾姿勢”の排便姿勢をとることがオススメ。直腸と肛門管の角度が比較的まっすぐになり、排便が容易になると言われています。

■まとめ

ステージ3、4になると、日常生活に支障をきたす恐れがあります。いぼ痔が重症化する前に、排便時の姿勢やいきみに気をつけるなど、日ごろの予防ケアを心がけるといいかもしれませんね。

(監修:加藤淳)

※画像はイメージです

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