圧倒的に華麗!マレーシアの世界遺産ジョージタウンを代表する中国式霊廟「クー・コンシー」
歴史的な街並みが世界遺産に登録されているマレーシア・ペナン島の中心都市、ジョージタウン。中国、マレー、インド、ヨーロッパの文化が混在する街に、数多くの歴史的建造物がひしめいています。
そんなジョージタウンで最も見ごたえのある建造物のひとつが、世界遺産地区の中心に位置する「クー・コンシー(邸公司)」。
「コンシー(公司)」とは華人が先祖を祀るために建てた廟のことで、ペナン島に数ある中国式廟のなかでも最も美しいとされているのがここ、クー・コンシーなのです。
クー・コンシーは、中国の福建省からペナン島に渡った邸氏一族によって建立されたもので、広大な敷地は、廟と集会場から構成されています。
もともと19世紀末に建てられましたが、火災により焼失。現在の建物は、1906年に再建され、1960年代に改修されたものです。
チケット売場はわかりにくいのですが、クー・コンシーの隣にある小さなオフィスでチケットを買ってから入場します。
ストリートアートが連なるジョージタウン屈指の観光ストリート、アルメニア通りからは一見小さなお寺のように見えるクー・コンシー。
しかし、奥に進むにつれて、廟が全体像を現すと、その大きさと美しさに圧倒されます。
廟の赤と、美しく手入れされた芝生の緑、空の青のコントラストが爽快。まるで絵画のような風景です。
大きさもさることながら、何よりも圧巻なのが、屋根や壁面に施された精緻で色鮮やかな装飾。
ペナン島には、他にも美しい装飾彫刻が施された建物がありますが、これほどまでの華やかさと立体感を持ち合わせた装飾は、他に類を見ないのではないでしょうか。
外観のみならず、内部も豪華絢爛です。なかでもまばゆいばかりの輝きを放つのが、クー・コンシーの中心的空間である先祖のホール。
金色に輝く彫刻装飾は目を疑うほどの精密さ。邸氏一族の隆盛ぶり、そして華人にとって先祖がいかに重要な意味を持つのかが実感できます。
ホール以外の空間は、台所用品を展示した「ババ・ニョニャルーム」や、当時の仕事部屋を再現した「オフィスルーム」など、いつくかの小部屋に当時の生活ぶりがわかる展示がなされ、ちょっとした博物館のようになっています。
「ババ・ニョニャ」とは、15~17世紀にマレーシアやシンガポールに渡った中国系移民の子孫のことで、「ババ」は男性、「ニョニャ」は女性を指します。
中国系移民は現地の女性と結婚し、子どもをもうけ、中国とマレーシアの文化を融合、さらにヨーロッパの文化を加えた「プラナカン文化」と呼ばれる独自の文化を発展させました。
クー・コンシーにも、プラナカン様式の優美な装飾が見られます。
世界遺産ジョージタウンの中心で、華麗なる建築美が堪能できるクー・コンシー。この美しい装飾の数々を目にすれば、異世界に迷い込んだかのような高揚感に包まれることでしょう。
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