「人類の歩み」をこの目で 大英自然史博物館展に行ってみた (3/4ページ)
ふたつの種類の身体的特徴を兼ね合わせた骨格標本です。
たとえば、ホモ・サピエンスの頭蓋骨と猿の顎を合わせたような化石が出てくれば、ダーウィンの進化論を非難する学者はいなくなるはず。
現代では発掘技術の向上も相成り、世界中から猿人や原人の化石が発見されています。ですがかつて、進化論を無理やり証明しようとした「ピルトダウン人事件」というものもありました。
これはアマチュア考古学者のチャールズ・ドーソンが現生人類の祖先を「発掘」したという出来事で、当時としては驚愕をもって学会に受け入れられました。ピルトダウン人の化石人骨は、ホモ・サピエンスに似た頭部とオランウータンのような顎を持っています。ついにダーウィンの学説に物的証拠が付与された、というセンセーショナルが巻き起こりました。
ですが学会発表から30年以上経ったあとに、この化石が本当に「人間の頭蓋骨とオランウータンの顎」ということが判明します。つまり、両方の骨を組み合わせた捏造物だったというわけです。
このピルトダウン人事件は、自然学会の黒歴史として学者たちの脳裏に焼き付いています。ところが皮肉にも、この事件をきっかけに化石の真贋判定技術が進歩し、より核心に迫った自然考古学研究を行えるようになったという側面もあります。
世界各地で採取された標本、ダーウィンの直筆原稿、そしてピルトダウン人の化石。これらはすべて、現在開催中の大英自然史博物館展で公開されています。
開催期日は6月11日まで。なお、この特別展ではフラッシュを使わないという条件で、展示物の撮影が許可されています。この機会にぜひ、上野を訪れてみてはいかがでしょうか。