復権へ一歩ずつ。関東学院大が慶大相手に見せた“4点差”。 (1/3ページ)
後半8分に独走トライを決めた関東学院大WTB小出惇矢。(撮影/多羅正崇)
関東学院大の4年生、HO西木健二郎は、新入部員だった3年前をこう振り返る。
「慶應さんとやらせてもらう時は、Cチームだったり、Bチームだったりしました」
かつての大学王者“カントー”は、2014年当時、関東大学リーグ戦の2部にいた。
3年の月日が経った。
2015年、関東学院大は専修大との1・2部入替戦を22-7で制し、4季ぶりとなる1部復帰を決めた。2014年に指揮官となった板井良太監督は、当時を振り返ると今でも「1部を勝ち取ることができて、本当にうれしかった」と力がこもる。
さらに翌2016年、リーグ戦6位(2勝6敗)で昇格初年度ながら1部に残留。着実に階段を上ってきた。
そして迎えた2017年シーズンは、春季大会Bグループで開幕2連勝。5月21日は、神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場で、昨季の関東大学対抗戦Aで4位だった慶應義塾大と対戦した。
慶大の先発メンバーには、昨年からの主力であるPR細田隼都、LO松村凜太郎、SO古田京らの名前が。
「初めてAチームの慶應さんとやらせてもらいました」(HO西木)
CチームでもなくBチームでもない慶大と、公式戦の場で対峙した。
午後2時にキックオフされた試合は、序盤の5分間で2トライ、5分間のロスタイムを含めたラスト7分間で3トライを奪った慶大が、49-24で勝利し、Bグループ3連勝とした。
最後は慶大が地力を見せつけた格好だ。しかし後半37分の時点で、慶大のリードはわずかに4点(28-24)。1343人の観客にアップセットの予感を抱かせるには十分な、緊迫した展開が終盤まで続いていた。
関東学院大は前半を28-5とリードされて折り返したものの、後半8分にWTB小出惇矢がラインブレイクして独走トライ。さらに21分、ラン能力も光るSO横田祐哉がギャップを突いて左隅にグラウンディング。
続く29分には、この日何度も快走を披露したWTB今井力也がトライラインを越えた。ダミーランナーを複雑に絡めながらピッチ幅いっぱいに展開する“新生カントー”のラグビーで、後半は拍手を浴びた。