脂肪分の高さは関係ない?乳製品と健康リスクに新たな結論【英 研究】

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今まで、乳製品の脂肪が健康を害する可能性があるとして、摂取を控えたり、低脂肪製品を選んで購入されていた方も多いと思います。

ところが、2017年5月のイギリスの最新研究で、乳製品と健康リスクについて気になる報告がありました。( 参考)

そこで今回は改めて、乳製品の栄養分や効果はもちろん、摂取時に注意が必要なタイプなどを医師に詳しく解説していただきました。 最新研究の解説
乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト、クリームなど)は飽和脂肪酸を含むため、心臓や血管系の病気を増やし、健康に有害なのではないかというイメージがありました。

しかし、イギリスから発表された研究によると、特に低脂肪製品でなくても、乳製品は全ての原因での死亡率、 心筋梗塞脳卒中のリスクを、上げも下げもしない、と報告されました。

研究内容は乳製品と健康に関して調べた29の論文を総合して研究したものです。(※1) 飽和脂肪酸とは?

飽和脂肪酸
牛脂やラード、バターのように常温で固形の脂であり、動物の脂肪に多く含まれています。

不飽和脂肪酸
常温で液体であり、植物油や魚油に多く含まれています。

飽和脂肪酸の疾患リスク
糖尿病や心筋梗塞のリスクを増やすと言われており、摂り過ぎないようにすることが健康に良いと言われています。

ただし、飽和脂肪酸を全く摂らないとかえって脳卒中が増えたり、善玉コレステロールが減るといった悪影響もあります。 乳製品の栄養成分と効果 牛乳

牛の母乳であり、子牛が成長するのに必要な以下の栄養素が全て含まれています。

・カルシウム
・脂肪
・タンパク質
・ビタミン
・カリウム
・リン
・マグネシウム
など

牛乳のカゼインや乳糖はカルシウム吸収を助けるため、魚や野菜よりもカルシウム吸収率が良いとされています。

ヨーグルトやチーズ

製造過程で細菌による発酵を経ており、その際にカルシウムが乳酸と結合することでカルシウムの吸収効率がさらに良くなっています。

ヨーグルトは乳酸菌を含み、腸内の善玉菌を増やし腸内環境を整える効果があります。

バターや生クリーム

乳製品の脂肪分を濃縮したものであり、重さ当たりのカロリーは高くなっていますので、過剰摂取は肥満につながります。 母乳と牛乳の違い
人間の母乳と牛乳を比べると、母乳は牛乳よりタンパク質・ミネラル・カルシウムが少なく、鉄やビタミンC、糖分は多く含まれています。

人間は、牛より体の成長がゆっくりのため、タンパク質やカルシウムは少しずつでよいからと考えられています。

逆に人間は脳の発達が早く、糖分を多く必要とすることを考えると、母乳の組成は合理的です。 乳製品を摂取する際に注意が必要なタイプ 乳糖不耐症

牛乳に含まれる乳糖を消化分解できない体質の人がおり、牛乳を飲むと 腹痛を起こし 下痢になります。嘔吐がある場合もあります。

乳糖不耐症は生まれつきのこともありますが、大人になってからウイルス性の 胃腸炎など何らかの原因で乳糖を分解する酵素が働けなくなり乳糖不耐症になることも多いです。

乳糖不耐症はいわゆるアレルギーではありません。大人になってからの乳糖不耐症の場合は、乳製品を避けますが、ヨーグルトやチーズでは発酵の過程で乳糖が減少しており、これらは食べられることもあります。

乳糖が分解されている牛乳も販売されています。

1歳未満の子ども

厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では、牛乳を飲むのは1歳以降が望ましいとしています。
ヨーグルトやチーズは離乳食初期から少量ずつ食べることができます。

タンパク質の消化機能が未熟な間は牛乳のタンパク質を分解できずアレルギー症状が出る可能性があり、また牛乳のカルシウムが鉄分の吸収を妨げることがあり、大量に飲むと 鉄欠乏性貧血になる可能性があるとされています。 最後に医師から一言
栄養学の常識は常に変化しています。〇〇病にはこれがいい、いや良くない、という議論は果てしなく続いており、新しい研究結果によって正反対の結果が出ることもあります。

1つ確実に言えるのは、これだけ食べていれば大丈夫というような食品はなく、様々なものを少しずつ食べることがリスクを減らすということです。

(監修:Doctors Me 医師)

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