世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第225回 生産性向上こそが解である (2/3ページ)

週刊実話


 より具体的には、生産性向上を目的とした投資の拡大こそが日本には必要なのである。生産性向上のための投資とは、設備投資、公共投資、人材投資、技術投資の四つだ。

 今後の日本において特に重要なのは「サービス業の生産性向上」になる。厳密には「人が動かざるを得ない分野」における生産性向上こそが、日本を繁栄へと導く。介護、土木・建設、運送、医療、農業、飲食、農業などにおいて人手不足をいかに「技術」でカバーできるのか。これが日本経済の運命を決定付けることになる。
 一応、政府も「サービス業の生産性向上」のための投資戦略を打ち出そうとしている。安倍内閣は2017年5月30日、第9回未来投資会議を開催。総理は会議後の記者会見で、
 「少子高齢化に直面する日本は、失業問題を恐れずに人工知能やIoT、ロボットなどを存分に活用できます。ものづくりが強く、医療介護や工場のデータも豊富です。このチャンスを産業の変革だけには終わらせません。日本は、新たな技術をあらゆる産業や日常生活に取り入れ、1人1人のニーズに合わせる形で社会課題を解決する『Society5.0』を世界に先駆けて実現します」
 と、語った。

 会議では、具体的には、
 ●介護ロボット等の導入促進(介護)
 ●「アイ・コンストラクション」の対象拡大、公共工事の3次元データのオープン化、インフラ点検・災害対応ロボットの開発促進(土木・建設)
 ●トラックの隊列走行の実現、地域における無人自動走行による移動サービスの実現、小型無人機(ドローン)による荷物配送の実現、安全運転サポート車の制度整備・普及促進(運送)
 などが提言された。これらの施策は、筆者が著作『日本が世界をリードする! 第4次産業革命』(徳間書店)などで訴えていたソリューションそのままだ。介護、土木・建設、運送など、ヒトが動かざるを得ない分野において「ヒトの動作」を支援する技術投資、設備投資こそが第4次産業革命なのだ(ちなみに、第3次産業革命はコンピューターやインターネットの発達により、ヒトの「情報へのアクセス」を支援し、生産性を向上させた)。

 また、安倍総理の発言の冒頭「少子高齢化に直面する日本は、失業問題を恐れずに」という部分は重要だ。
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