小池百合子女史の「都政立ち往生」”対決姿勢”でどこまでやれるか|やまもといちろうコラム (1/2ページ)

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「都政立ち往生」対決姿勢でどこまでやれるか
「都政立ち往生」対決姿勢でどこまでやれるか

 山本一郎(やまもといちろう)です。しばらく都政周りを見ていて思ったのですが、昨年小池百合子女史(64)が都知事選に勝利し、爆発的な人気を誇っていたころから「すでに決まっている政策のちゃぶ台返し」を狙ってやっている部分が垣間見えて、ちょっとなあと思っていたわけです。

 シンプルに言えば、五輪問題などは適例なのですが、2020東京五輪というのはもちろん予算絡みのすったもんだはあっても、それは基本的に「国」と「東京都」と「周辺自治体」と「JOCなど関連団体」の問題に落ち着いていました。実際にはもう東京オリンピックパラリンピックは実施する前提であることは間違いないわけで、すべては一定のコンセンサスの下で動いていたわけですよ。

 ところが、小池百合子女史がこれを一部ひっくり返そうとします。もちろん、五輪の予定調和的なあれこれで言うならば、望ましくない話はたくさんあります。膨れ上がる開催費用、謎の受発注、施設に関する他自治体との取り決めや費用分担など、細やかに見ればお互いの利害が対立していたり、あまりにも納期が短いので受注してくれる建設業者がいないという理由で「落札率99.99%」みたいな談合が疑われる話なども出てきていました。

 その後、そういう問題点を指摘することで検証が進み、実は問題がなかった、それほどのことではなかったということがだんだん分かっていくのですが、小池女史の場合はそういう問題を「誰かがやったことであり、それを暴き、止めることで人気を稼ぐ」方向にシフトします。

 別に構わないんですよ、疑惑を持つこと自体は、実際、疑問視される取引もなかにはあったのでしょう。ただ、この「国」に関わることで言うならば、五輪運営委員会委員長が自民党の中の自民党である元総理・森喜朗さん(79)が中心にいたということで、この森さんと対立し、騒げば騒ぐほどに小池女史の名声が上がり、古い自民党政治との対決者である自分、が演出できると踏んだ点は強く感じられます。

 それが悪いとは言わないんですけど、これは文字通り劇薬でありまして、実際には関係者が手順を踏んで調整の結果、これが一番良いであろうと決定されてきたプロセスそのものも踏みにじる可能性があります。森喜朗さんというのはその関係者の検討や調整や努力の上にフワッと座っているだけだった場合、その森喜朗さんが決めたことだからちゃぶ台返しをするとなれば、そこにいた関係者がみんな傷つくことになるわけです。

 いま小池百合子女史の問題というのは、この「おそらくは関係者の努力の結果、ようやく調整できたこと」があらぬ疑いで穿り返され、プロセスの検証という名のもとに不要なストップがかかった結果、どうにもならない事態になっているということです。

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