死後数年経過し、遅れてやってきたある方の訃報から蘇る思い出と生じる後悔 (1/2ページ)

心に残る家族葬

死後数年経過し、遅れてやってきたある方の訃報から蘇る思い出と生じる後悔

幸せの象徴として知られる『青い鳥』。これは1908年にモーリス・メーテルリンクが書いた戯曲です。貧しい木こりの子のチルチルとミチルが、クリスマスの夜に隣の家の娘さん(魔女の娘?)の病気を治すため青い鳥を求めて色々な国をたずねるお話です。

■青い鳥とはどんな話?

まず二人が最初に訪れたのは『想い出の国』でした。そこには死んだはずのおじいさんとおばあさんが眠っていて、二人がやってくると目を覚まします。喜んだ二人はおじいさん、おばあさんと昔を懐かしみます。すると思い出すたびに死んだ兄弟や飼い犬までやってきます。そしてそこには青い鳥がいたのです!喜んだ二人はもらって帰るのですが…。

この時おじいさんは二人に『人は死んでもみんなが心の中で思い出してくれたなら、いつでも会うことができる』と言って聞かせます。その言葉が私にとって、実はとても大切な心の支えの一つになっているのです。

■その人との思い出

昔々の高校時代、私は出来の悪い生徒でした。業を煮やした英語の先生は私の母を呼びつけ家庭教師をつけるように言いました。そのころの一般家庭で家庭教師をつけるなんてとても考えられないことです。困った母はその先生に相談するしかありませんでした。先生は「自分の友人で家庭教師をしてくれる人がいるが、彼女は不真面目な生徒は嫌がるので…」と渋りながらも紹介して下さった、それが『池袋の先生』と私が呼んでいる方です。

先生はもうおばあさんで、池袋駅に程近い小さなアパートに一人で住んでいらっしゃいました。1階が大工さんの作業場で2階には他にも部屋がいくつかあったようですが、階段のとっつきが先生の部屋でした。それから毎週私はその小さな部屋に通いだしました。簡素な部屋で何もありませんでしたが、高価そうな洋書がぎっしり詰まった本箱が印象的でした。勉強を教わりながら、出来の悪い生徒らしく私は先生にいつもぶつぶつこぼしていました。「落第したらどうしよう。大学に落ちたらどうしよう」そう聞くと、先生はいつもニコニコ笑ってちょっと訛のある声で「大丈夫、大丈夫」と言ってくれます。それを聞くと不思議に少し安心しました。

■遅れてやってきた訃報

数年後、高校の先生から電話がありました。

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