吉田豪インタビュー企画:北条かや「コンプレックス解消のために美容整形した」(3) (1/3ページ)
プロインタビュアーの吉田豪が注目の人にガチンコ取材を挑むロングインタビュー企画。ライターの北条かやさんがゲストのトークは今回でラストです。あまりにも壮絶な結婚と離婚、自殺未遂などのエピソードの他、炎上を巻き起した“こじらせ女子問題”などを振り返っていただきました。
吉田豪インタビュー企画:北条かや「コンプレックスがあるので、勘違いブスみたいな人がうらやましくて」 (2)
■「北条かやはコンテンツなので渡さない」と言われ……
──似たような境遇の、わかってくれる人たちがいたんですね。もともと元旦那さんとは、どうやって出会ったんですか?
北条 最初は何度も「ファンです」って言われて。自分は編集者だからマネジメントしたいとか、色々言われて恋愛関係になりました。
──そこから完全に主導権を握った関係になると、「北条かやは俺が作ったんだ」ぐらいの感覚になりそうですね。
北条 そう思ってると思います。離婚のときも「北条かやは人間じゃなくてコンテンツなので渡さない」って言われて。
──えーっ!
北条 そのコンテンツの使用料というか、1日3万円のマネジメント費をっていうことで3年間で1000万円を要求されたので、これは離婚できないと思いました。
──なかなかペイしないですよ、1日3万も払ったら。
北条 そうですね。でも、もともとマネジメント料として最初に彼に100万渡してるので。
──そんなに払ってるんですか!
北条 借用書があったので返ってくると思ってたんですけど、返ってこなかったです。実際にそこはマネジメント料を払ったと思えば仕方ないです……。
【その後も結婚生活のややこしい話をたっぷりしてくれたが、デリケートなので大幅削除】
──北条さんをフォローできるポイントはいくつかあって、炎上のときも死ぬ死ぬ詐欺的に言われてましたけど、リアルタイムでこっちは見てるからわかるじゃないですか。この人は、下手にいまひと押ししたら本当にヤバいですよっていうことが。
北条 私が言われて一番嫌だったのは、「北条かやは『自殺してやる』と言って他人を脅す人だ」みたいなことを、あるブロガーの方に言われて、ホントにそれが一番腹が立ったというか……。
──そしたら変なスイッチが入っちゃうんですよね、「そう言われるんだったら本気でやったるわ!」みたいな。
北条 そうかもしれないですね。そのブログを読んだのは炎上して2週間ぐらい経ってからだと思うんですけど、そういうことを書ける人って本当に死にたいと感じたことがないのかなと思ったりしますよね。交際相手に対して「別れるなら死ぬ!」みたいなコミュニケーションもあるとか言われますけど、人って結構あっけなく死んじゃうので危険な行為だし、あの場ではホントに間一髪って感じだったので。ホントにもう2度としたくないです。
──ボク、あのときTwitterで死ぬ死なないの流れを見て、これは本格的にヤバそうだと思って北条さんにフェイスブックでメッセージ送ったら、誤字だらけの怖い返信が次々と届いて。
北条 ……マジですか?

■切腹も考えたけど切腹はコスパが悪い
──「いまODしちゃいますた」みたいな、リアルタイムで朦朧としてる人の誤字だらけの文章が次々と送られてきて、「うわ、ガチだ!」って。
北条 ホントに申し訳ない! 申し訳ないんですが、そういうガチで死にそうなのを「かまってちゃんだ」とか言って喜ぶ人もまた、嫌なんですよ。確かに自殺未遂はだめなことですけど、それで他人を脅そうとか注目を集めようっていう気持ちはまったくないですよ。あの日、雨宮さんとか能町(みね子)さんを脅そうっていう気持ちは一切なかったですし、戦略的な自殺未遂なんてする意味がないですよ。
──しかも、あのときはちゃんとした芸能事務所に入ってる時期だから、一番やっちゃいけない行為だったんですよね。
北条 そうなんです。将来のリスクを考えたら絶対にやらないです。当時はそのくらい追い詰められていたんだと思いますけど、それでも演技だって言われたのが……演技だと思わないと安定しないバカがいるんでしょうね。
──また微妙に口が悪くなってますけど、当時のやり取りを見直したら、そういうものにいちいち怒って悪い方向にスイッチが入ってたんですよ。
北条 そうです。「じゃあ死んでやる!」みたいな。
──なんでそこに腹を括っちゃうんだと思ったんですけど。
北条 意味が欲しいんです、きっと。三島由紀夫の劣化版みたいな。
──劣化しすぎですよ! 市ヶ谷の自衛隊でやるならまだしも。
北条 1000万分の1ぐらいにした三島由紀夫みたいな感じでやってましたね。ホントに抗議で切腹もちょっと考えたんですけど……。
──え! それも考えたんですか!
北条 はい、考えたんですけど、大平光代さんの『だから、あなたも生きぬいて』に「切腹はすごく痛い、しかも死ねない」っていうエピソードがあって。彼女はいじめられていた思春期に、河原で割腹自殺を図ったんですけど、何時間ももがいた末に助けられて、この方法では死ねないっていうことがわかった、みたいな感じで。そのエッセイを小5ぐらいのときに読んだので、切腹はコストパフォーマンスが悪いなって。
──コスパが(笑)。
北条 そうです。切腹は痛いけど死ねないとかろくでもないことを考えて。一番いいのは通ってたメンタルヘルスクリニックの方がおっしゃってた、ODとお酒だと思ったんです。
──そんなこと教えてくれたんですか!
北条 「絶対にお酒と向精神薬を一緒に飲むのはやめてください」って言われてたので。あと、仕事で刷り込まれた意識というか、アルコールを強要されて亡くなる若者たちのことをコラムに書いたりしてたので、「こういうふうに彼は亡くなってしまった」みたいな話って、だいたいみんな吐しゃ物が原因なんですよね。放置してたら吐いて死んでしまったっていうケースが本当に多いので、そういう仕事で知ったことを思い出してしまって。死ぬならそういうことかなって。手っ取り早い感じで幕が下りるなと思いました。
──一時期あきらかにお酒も飲み過ぎてましたもんね。
北条 そうですよね。いまほとんど飲まないです。もう、ろれつの回ってないメッセンジャーは送ってないと思います。
──もちろんです。あの時期を思えば、だいぶ持ち直したと思うんですよ。
北条 そうですね、だいぶ持ち直しました。仕事は減りましたけど、その半分くらいは無署名記事っていうんですかね、それをたくさん書いてたのがなくなったという感じで、少しずつ別のお仕事も増えてきたので、前向きに捉えています。

■美容整形で死にたかった気持ちがなくなった
──ただ、酒の代わりにいま依存してそうに見えるのが整形なんですよ。
北条 整形依存ですかね……。
──前に言ったことあると思うんですけど、たぶんこれはリスカの代償行為ですよねって。
北条 もしかしたらそういう側面もあるかもしれないですけど、きれいになってからホントに自殺願望は消えたんですよ。炎上してから、常に死にたい、消えたい状態だったのが、今は毎日が楽しくて。確かに「美容整形は自傷行為だ」っていう論文もありますけど、自分の場合は違うかなと思います。お医者さんが、私の顔や体を非常に美しくするために頑張ってくださるわけじゃないですか。私はその様子を実況するようなコラムを書く関係で、いろんなスタッフの方が自分の美容整形に関わってくださるってなると、仕上げてくださった顔とか体が棺桶に入るのはもったいないなと思うようになったんです。
──せっかくここまでやってくれたんだから、いまはまだ死ねないっていう思いがどんどん出てきて。
北条 そうです、きれいになるっていうのは女性にとって想像以上に大きいなと思いますね。エネルギーが湧いてきてエンパワメントされるんです。気持ちにも余裕ができるからか、いまは勘違いブスを見ても以前よりは落ち着いています。
──「ああ、勘違いブスだなー」と思うだけで(笑)。
北条 コンプレックスを解消する手段がなかった時は、外見に悩んだりしない能天気な人を憧れつつ見下していたんですけど、今は自分にも美容整形という手段があるってことがわかったので。気に食わないパーツがあったら美容医療を試して、その自意識の変化もコラムにできるんだって思うと楽しくてしょうがなくて。
──そういえば前に印象的な発言があったんですよ。体外受精で子供が欲しい的な。
北条 ああ、それはたぶんまだ精神的に不安定なときですね。遺伝子が残ったら自分は死んでもいい、みたいなことで。
──そういうことだったんですか……。
北条 鮭みたいな、そういう感覚でいた頃もありましたね。まだ美容整形する前だと思います。美容整形したら自分が1番大事になったので、子供を持つことは想像できなくなりました。自分には資格がないというか。整形って、周りのみなさんが自分をどんどん美しくしてくださって嬉しいという、本当に自己中な営みなので。
──死にたい人にとって、そんなに整形がプラスになるっていうのはいい話だと思いますよ。
北条 そうなんです。自分の場合は最初から、仕事抜きで本当に整形したくて脂肪吸引の手術を受けたんです。なぜか美容整形に惹きつけられて。今までの人生散々だったけど、体が変われば心も変わるんじゃないかと思ってやってみたんですよ。そしたら本当に、整形後は体に意識が向くので余計なことが気にならなくなったんです。いい依存じゃないかなと思ってますね。