世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第228回 PB黒字化目標で「小国化」する日本 (2/3ページ)
つまりは、政府債務対GDP比の引き下げとは、わが国にとって「デフレ脱却」とイコールになるのだ。
それに対し、PB黒字化にこだわると、デフレ脱却のための財政出動を政治家が望んだ場合、
「他の予算を削減するか、もしくは増税」
という話になってしまう。PB黒字化目標とは、そういう話なのだ。
結果的に、日本はデフレ脱却が果たせず、政府の債務対GDP比は上昇していく。デフレ経済が続くと、税収は減り(実際に2016年度は税収が減った)、PB黒字化は逆に遠ざかることになる。
すると「財政が悪化した! PB黒字化の達成を!」と、財務省の御用マスコミが大合唱。さらなる増税や緊縮財政が繰り返されるというスキームになっているのだ。
そもそも、政府がPBを黒字化する必要などない。日本に限らず、徴税権と通貨発行権という強権を持つ政府は、国民経済を成長させ、国民を豊かにするためであれば、財政は赤字でも一向に構わない。何しろ、政府は「利益=黒字」を目的にした企業ではない。政府は「国民が安全に、豊かに暮らすこと」、すなわち経世済民を目的としたNPO(非営利組織)なのだ。
過去に日本政府が数年続けてPBを黒字化した時期がある。バブル期だ。
1985年から'92年にかけ、日本のPBは見事に黒字化した。統計的に確認可能な1980年以降、日本のPBが黒字化したのはバブル期のみだ。バブル景気により税収が激増し、景気対策も不要になれば、それはもちろんPBは黒字化するだろう。
というわけで、財務省が本気でPBを黒字化したいならば、政府の財政拡大と減税を繰り返し、景気を過熱させ、超好景気にすればいいのだ。
財務省の官僚が本気でPB黒字化を「目標」に掲げるならば、日本経済に超好景気をもたらすよう、財政拡大路線を認めるべきだ。それを認めないというのであれば、結局のところ、財務省はPB黒字化“すら”望んでいないという結論にならざるを得ない。
ところで、財政健全化の定義は「政府の債務残高を減らすこと」ではないと書いたが、過去の日本政府の債務がいかに増えてきたか、ご存じだろうか。評論家の島倉原氏が、明治期から近年に至る政府債務の推移をグラフ化し、公開している。