「修行の一環」という名の長時間労働がはびこるブラック寺院業界

心に残る家族葬

「修行の一環」という名の長時間労働がはびこるブラック寺院業界

東本願寺の劣悪な労働環境が問題になっている。月に何十時間もの残業を強いられながら、残業代を支払われていないという。さらに、繁忙期には一人で業務をこなすワンオペが続き、過労死することをも覚悟していたというから驚きだ。あまり大変なイメージの無いお寺への認識を改める必要がある。

■ブラック寺院問題が明らかになった理由と問題の根幹

このような実情が明らかになったのは、京都の東本願寺に勤める一人のお坊さんが、SPA!の編集部へ匿名でタレコミを行ったためだ。このようにブラックな労働現場となっている実体の裏には、修行をする身分であるお坊さんという立場が関わっているようだ。

仏教の業界では、お寺へ訪ねてくる人も大勢いる。そのような人々に対応することも労働時間に含まれるのだが、それを一種の”修行“と捉え、業務とみなさないような風潮が業界全体として存在するのだ。

■問題解決には寺院業界全体で取り組む必要があるが

このような環境に置かれていては、お坊さんの身を案じる事態となってしまう。それを防ぐためには、業界全体の意識改革が必要だろう。一つ二つの寺院がその認識を改めたところで、大きな変化は見えない。お寺という場所を一つの労働現場としてみなす見方が広まらなければ、働き方に改革は起こせないのである。

そのためには、お寺という労働現場に対して厚生労働省や労働基準監督署が手を加えることが必須となる。なかなか国の機関が手を出しにくい場所であるが、そうしなければお坊さんたちの適正な労働がいつまでたっても守られないままだ。

特に京都においては、お寺が社会の中で強い権力を持つとされる。そのような状況にあればこそ、身勝手な労働を押し付けてしまうことが増える。お寺側が自分たちで変わっていこうという動きを見せるとは思えない。そのようなことを防ぐのには、第三者が手を入れるしかないだろう。

■自浄作用が働かないとなると…

お寺は古い歴史を持つ。それが故に根付いた慣習を変えることは容易ではない。本当は寺院業界自らが変えていくことが望ましいが、もしも自浄作用が働かないのであれば、残された手は第三者の機関に頼るしかないだろう。長い歴史の中で培ってきた独自の労働慣習ではなく、現代の法律に則った労働基準を、寺院の業界にも適応すべきである。

仁和寺に続いて、東本願寺でも起こったブラック寺院問題は恐らく氷山の一角だろう。これで変えることが出来ないのであれば、残された道はもう限られている。

「「修行の一環」という名の長時間労働がはびこるブラック寺院業界」のページです。デイリーニュースオンラインは、社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧