人の及ばない自然の力…「激減」する植物と「激増」する植物

まいじつ

A.kiyoshi / PIXTA(ピクスタ)
A.kiyoshi / PIXTA(ピクスタ)

全国有数のハスの群生地だった琵琶湖の一角(滋賀県草津市烏丸半島)で昨年、原因不明のままハスが“消滅”するという事件が起きた。同市の商工観光労政課では、開花時季に合わせた熱気球のフライトや、クルージング、ハス祭りは予定通り開催し、「来年は何とか回復してほしい」と願ったものの、今年もピンク色の花が一面に咲く絶景は望めそうもない。

「市は専門家に依頼して調査結果を待ったのですが、結論は『人間の力で、短期間のうちに群生地を復活させるのは事実上不可能』との見解でした。ハスの消滅理由として、湖底の泥のなかのメタンガスが増えた、湖底の土壌がハスの生育に適した粘土質から砂地に変化した、などが挙げられていました。要因は複合的に絡んでおり、残念ですが、短期間のうちに群生地が再生される可能性は限りなくゼロに近いでしょうね」(同市有志)

ほかにも、静岡県河津町の天然記念物『ナチシダ』も減ってしまった植物である。原因はニホンジカにあるそうだが、“食害”によって減ってしまった訳ではないという。

「ナチシダはちょっと毒があるせいか、シカは食べません。その代わりに、シカが周りの草をきれいに食べるので、ナチシダの生育には役に立っていたのです。しかし、ナチシダ保護のために柵を作ったのですが、シカが近寄れなくなり、結果的にナチシダがほかの草に負けてしまったという皮肉な話です」(町役場職員)

絶滅を阻止しようとしたら増えすぎてしまった植物も

このハスの消滅とナチシダの減少の一方で、増えすぎて困っている植物の問題もある。京都にある深泥池(みどろがいけ)に浮かぶ『ジュンサイ』という水生植物だ。

ジュンサイはスイレンの仲間で、新芽を酢の物やお吸い物にされ、美術家で料理家の北大路魯山も絶賛した、いまが旬の食材だ。

「戦後、池の水質が悪化し、1960年代にはジュンサイ採りができなくなり、5年ほど前には絶滅が心配されるほど減ってしまったのです。そこで地元の方たちと京都市が、水質改善とジュンサイの復活に取り組んだ結果、2003年ごろからジュンサイが増え出し、ここ2~3年の間に爆発的に増えています。いまでは京都大学の支援を仰いで、ドローンによる生息地の制限調査をしているほどです」(京都市担当者)

自然をコントロールするのは実に難しい。

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