秋津壽男“どっち?”の健康学「疲労回復、リラックス効果のある風呂。体に負担のない温度はどのくらい?」 (1/2ページ)
暑さが真っ盛りになり、1年でいちばん汗をかく季節がやってきます。この時期は歩いているだけでも汗が滴り落ちてきます。また、寝ている間も汗をかくので、朝風呂に入ってから出勤する人も少なくないはずです。
体臭が気になる人は、今の時期、できればシャワーではなくお風呂に5分ほどつかってください。お風呂で汗をかくと、食べ物や生活習慣でたまる「臭いの元」=アンモニア成分や脂質が体内から出るため、汗臭くなる確率を減らすことができます。
さて、ここで問題です。暑い時期は「熱い風呂」と「ぬるい風呂」、どちらに入るべきでしょうか。
「江戸っ子が好む」と言われる熱い風呂の場合、長くつかるほど肌がヒリヒリして「イタ気持ちいい」ですが、熱いのがダメな人は「ひたすらつらい」だけです。
熱い風呂は刺激が強く、血圧が上がって交感神経が高まります。つまり、心臓や脳の血管系によくありません。
体に熱のストレスが加わると、防衛するべくヒートショックプロテイン(HSP)が分泌され、免疫力が高まるなど効果的だとの説もあります。
40~42度の風呂に10分ほどつかるとHSPが出るそうですが、高齢になるほど前述の「熱い風呂による副作用」というリスクが生じます。
温泉の露天風呂につかったあと、冷たい風に当たると気持ちいいものですが、血圧上昇を伴うため、浴槽から出た直後、急な血圧低下で倒れることがあります。特に飲酒をした場合、転倒事故や脳卒中に見舞われることもありますが、こうした危険は「極端な温度差」から生じるのです。
「ぬるい風呂では入った気がしない」と言う人もいるでしょうが、ぬるめのお湯だと血管が拡張して血圧は下がります。お湯がぬるくても長めに入れば、体に負担をかけず、少しずつ汗が出せます。
首までつかると心臓に水圧がかかるとも言われますが、入浴時の水圧など微々たるもので、気にすることはありません。それならばうつ伏せで寝るほうが高圧力です。
その点、半身浴は風呂に長時間入る方法の一つです。