生きた大腸菌のDNAに動画を記録し、読み込むことに成功(米研究) (3/5ページ)

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 彼の狙いは、細胞の生物活動を記録することだ。今のところ、DNAに保存されるデータは既知の情報であるが、将来的には未知の情報を書き込みたいと考えているのだ。

 細胞のごく最初の発達時期についてはあまり分かっていない。人間は設計図となる幹細胞という1つのボールから発達する。これが脳細胞やそれぞれの内臓に特化した細胞、あるいは血液細胞など、あらゆる細胞に変わる。

 しかし、その発達のタイミングは定かではない。そこで、細胞の活動記録をDNAに残そうというのだ。

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・大腸菌の持つ優れたファイリングシステム
 

 その手始めとして、まずこの手法を電気データで実験する必要があった。動画を選んだのは、経時的にいくつもの出来事を記録できると実証するためだ。

 多くの細菌と同じく、大腸菌にも優れた内部ファイリングシステムがある。動画を上演するのはCRISPRというゲノムの反復クラスターセクションだ。

 CRISPRの役割は、ウイルス性の侵入者が持つDNAの断片を掴み、それを自身のゲノムのCRISPRセクションにファイルし、侵入者の記録を作り上げることである。

 シップマン氏の研究チームは、デジタル情報をウイルスのそれのように見せることができれば、大腸菌のCRISPRを騙してファイルさせることができるのではないかと考えた。

 

 通常この技術は遺伝子を編集するために利用される。ゲノムのCRISPRセクション付近はCasという、DNA鎖を切る役割を持つ酵素ファミリーのコードを持つ遺伝子だ。

 この機能のためにCas酵素、特にCas9は遺伝子編集のための道具となった。これを生物のゲノムの任意の場所へ導いてくれるコードに取り付ける。するとそこをカットする、すなわち編集してくれるのだ。
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