“伝説の浅草芸人”急死で、愛弟子たけしがしたこととは? (2/3ページ)

日刊大衆

なかなか首を縦に振らないたけしだったが、本人はこのままフランス座にいても先細るだけだということは理解していた。本当は漫才にも興味があり、フランス座の後輩をそれとなく誘っていたのだという。そんな矢先に、後にツービートとして天下を取る“運命の相方”きよしが現れたわけだ。

 いつものように、きよしがフランス座の楽屋を訪れたある日のこと。たけしはスポーツ新聞を読みながら、タバコをふかしていたという。
「な、タケちゃん、俺と一緒に漫才やってみよーよ。漫才で売れたらテレビだって出れるしさ。タケちゃんとだったら、俺、売れそうな気がするんだよ」
もう何度、口説きにきただろう。ただ、その日はたけしの態度はいつもとは違っていた。
「うるせーな。オイラ、テレビになんて出たくねーんだよ。それによ、漫才やるたってさ、何も知らねーぞ。それでもいいのかよ」
きよしの目が輝いた。
「いーのいーの。最初は俺が教えるからさ。コントみたいに衣装なんて要らないし、背広が一着あればいいんだから。ね、ね!」
そこは、見かけによらず口八丁なきよしのこと。たけしの心が揺れ動いたスキに一気呵成に攻め込んだ。その結果……。
「分かったよ。お前がそこまで言うんなら……」

 たけしは渋々ながら、きよしの誘いに乗ってきた。後日、たけしは深見の楽屋を訪ねたという。 「師匠、一度外に出て勝負してみたいんですど……」
「タケ、てめー、バカヤロー! 芸も半人前のくせに外に出て何ができるんだ」
深見は思った通りの反応を示した。師匠と弟子の間に気まずい沈黙が流れる。たけしが諦めて楽屋を出て行こうとすると、深見は寂しそうにこう呟いたという。
「ま、辞めるのはお前の勝手だけどよ……」
深見としても、未来あるたけしがストリップ小屋で才能を埋もらせているのは可哀想だと思っていたのだろう。

 その後、たけしときよしは「松鶴家二郎次郎」としてコンビ結成。続いて「空たかしきよし」に改名するも芽が出ず、商店街や地方の旅館、キャバレーの営業で糊口をしのぎ、ビートたけし、ビートきよしの「ツービート」となって一気に天下取りの道を歩き出す。

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