【高校野球】新潟の名将が今夏限りで退任。日本文理・大井道夫監督の夏の甲子園での戦いを振り返る (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

■新潟勢初の決勝進出

 その後、日本文理は2002年夏、2004年夏と甲子園出場を果たすも、いずれも初戦敗退に終わる。2006年にはエース・横山龍之介(元阪神)を擁し、センバツでは2勝を挙げベスト8に進出。初の春夏連続出場を決め甲子園に乗り込んだが、香川西(現四国学院大香川西)に敗れ、夏の甲子園初勝利はならなかった。

 そして2009年夏の甲子園。初戦の藤井学園寒川戦に4対3で勝ち、5度目の出場で待望の夏の勝利を挙げると、続く日本航空石川に12対5、立正大淞南に11対3で勝利。打線が2試合連続2ケタ得点を挙げ、ベスト4に進出。準決勝の県岐阜商戦はエース・伊藤直輝が好投。2対1で勝ち、ついに決勝進出を果たした。

 中京大中京との決勝戦では5回を終えて2対2の同点と、強豪相手に臆することなく渡り合う。しかし、6回裏に一挙6点を失うなど点差を広げられ、8回を終えて4対10。「日本文理、よく戦った」というねぎらいの空気が甲子園を支配する。

 9回表の日本文理の攻撃は2死走者なし。ここで日本文理の1番・切手孝太が四球で出塁し、流れが変わり始める。そこから連続タイムリーで2点を挙げ6対10。さらに2つの四死球で2死満塁となり、打席には6番の伊藤。「伊藤コール」が甲子園に響くなか、レフト前へ2点タイムリーを放ち、点差は2
点に。続く代打の石塚雅俊も初球を振り抜きタイムリーに。ついに9対10と1点差に迫る。

 異様な雰囲気のなか、8番の若林尚希が鋭いライナーを放った。しかし、打球は中京大中京の三塁・河合完治のグラブに収まりゲームセット。日本文理は敗れたものの、その驚異的な追い上げは全国の高校野球ファンに「新潟に日本文理あり」と強く印象づけた。

■飯塚悟史を擁しベスト4に

 2009年夏の甲子園準優勝世代よりも能力は上、と言われてきたのがエース・飯塚悟史(現DeNA)を擁した2014年のチームだった。2013年の秋に明治神宮大会で準優勝。2014年夏に3季連続で甲子園出場を果たした。

 初戦の大分戦では2年の星兼太が本塁打を放つなど5対2で勝利。続く東邦戦にも勝利すると、富山商戦では新井充がサヨナラ本塁打と「打の日本文理」を印象づける戦いで勝ち上がる。準々決勝の聖光学院戦も5対1で勝利し5年ぶりのベスト4に。全国制覇への期待が高まっていく。しかし、準決勝の三重戦で無得点に抑えられ0対5で敗れた。

 この2014年夏の甲子園ベスト4を見て、日本文理に入学したのが今の3年生たち。日本文理にとって3年ぶりの甲子園となるこの夏、大井監督最後の花道とあって注目を集めそうだ。

文=武山智史(たけやま・さとし)

【関連記事】
「【高校野球】新潟の名将が今夏限りで退任。日本文理・大井道夫監督の夏の甲子園での戦いを振り返る」のページです。デイリーニュースオンラインは、大井道夫高校野球野球太郎甲子園スポーツなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る