ビートたけしの金言集「キャバレー営業が嫌でしかたなかった」 (1/2ページ)
思えば、10年程前、
「これだけネットなんかでじゃんじゃん好きなもん見られる時代なんだから、どんどん好きなものが細分化されてよ、これからはライブの時代になるんじゃねーか」
と、“ネットで好きなものを見つけては、それらを見に足を運ぶ時代になる”と、さらりと言われていました。さらに、
「そこで俺だよ! そのうちタップとピアノのショーをやって、かっこいいジジイになってやろうかと思ってよ」
確かに、この時期の殿は、仕事が終わればほぼ毎日2時間、熱心にドカドカとタップダンスの稽古をされていました。で、当時、仕事などまったくなかったわたくしは、タップの稽古にほぼ皆勤賞でしたが、殿によく聞かれた質問の一つが、
「お前、次の単独ライブはいつだ?」といったものでした。そんな質問に、“何月何日、どこどこでやります”的な答えを返すと、
「チケットは売れてるのか?」
「どんなネタをやるんだ?」
と、毎度やたらと興味を示され、その流れで、
「今はもうキャバレーの営業なんてないんだろ? 俺たちの頃は寄席に出るかキャバレーなんかの営業でネタをかけるしかなかったからな」
と、“ツービート無名時代のキャバレー営業話”を、ポツリポツリと聞かせてくれたのです。
「たまに入るキャバレーの営業が嫌で嫌でしかたなかったけどな」
「あの頃はキャバレーの全盛期だから、どこ行っても仕切ってる支配人が嫌な野郎でよ。『ちょっとネタ見せてみろ』なんて偉そうにしてんだ」
「また俺たちがキャバレーの営業が下手でよ。これがウケないんだ」
とにかく殿は、キャバレーの営業が苦手で、ウケた記憶がなく、大嫌いだったそうです。
「だけど当時の演芸場のギャラが2人で1500円だよ。キャバレーだと、とっぱらいで1万か2万はもらえたんだから、嫌でもしょうがねーよな」
と、“殿もそんな時代があったんですね~”と、つくづく感慨深くなることしきりの話をされていました。