夏の甲子園「舞台裏」② 「強くなるにはカネが掛かる」の悲鳴 (1/2ページ)

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夏の甲子園「舞台裏」② 「強くなるにはカネが掛かる」の悲鳴

 関西大学の宮本勝浩名誉教授がまとめた発表によると、夏の甲子園大会の経済波及効果は総額約351億円に上るという(8日付各紙報道)。過去5年の平均入場者数約84万人をもとに推計し、直接的な消費支出の総額は約162億円。うち選手と学校関係者は約34億円とのことだった。

 その数値から、こんなことも考えられる。ちょっと乱暴な推計だが、夏の甲子園大会の出場校は49校。「34億円÷49校」で、1校あたり7000万円近くを消費したことになる。しかし、過去に出場した高校によれば、7000万円は、さほどかけ離れた額ではないようだ。

 出場校全てにそんな準備資金があるのだろうか。潤沢な経営資金を持たない公立校はとくにそうだ。

 甲子園の常連校、初出場校ともに苦労させられていたのが、『応援団の遠征費』だった。また、出場各校は移動バス、食事、グッズなどの費用を用意しなければならない。応援団員、ブラスバンド部、チアガール、ベンチ入りから漏れた野球部の補欠、引率職員はもちろんだが、ここにOBや父母会が加わると、約1000人が移動する計算になる。応援団は試合の行われる日に合わせて、当日早朝、もしくは前日夜、甲子園に向けて出発し、その日のうちに帰ってくる。

 関東圏の高校によれば、移動バスはチャーターで20台を確保し、「往復ともに車中泊としても、高速代を含めて1台あたり約30万円」が掛かったという。仮に2回戦まで進んだとして、「30万円×20台×2試合=1200万円」となる。ここに、食事代、帽子、メガホン、横断幕、「アルプススタンド席の入場料300円×1000人×2試合=60万円」が加わり、春のセンバツ大会ならば、防寒用のウインドブレーカー、夏の大会ならTシャツを人数分制作しなければならない。

 また、寄付をしてくれた地元関係者、OB、父母へのお礼として、キーホルダー、タオルなどの記念グッズも学校が製作しなければならず、これらの経費が800万円強。ほかにもまだある。

 野球部員が使う練習用具のほか、打撃マシン、ブラスバンド部が手荷物として運べない大型の楽器などの運搬費も計算しなければならない。さらに、雨天順延となったときも想定し、予備宿泊費も計算に入れておく。

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