あなたはなぜ、ジャニーズタレント(芸能人)にならないのか?|平本淳也のジャニーズ社会学 (2/3ページ)

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■芸能人はいったいどれくらい稼げるのだろうか?

 では、芸能人はどれだけ稼げるのか? プロ野球選手のように契約金や年俸(推定)が報じられるわけでもなく、価格表のような一覧があるわけでもない。副業もアルバイトもし放題なので、こればかりはマネジメントする事務所側も正確なことはわかっていない。いわゆる水商売の最高峰が芸能界なので、金銭価値が発生する労働の対価となる業務に伴って得られるのがギャランティになる。

 芸能人の場合は、行動の全てが有償ということでもなく、プロモーション活動(販促)においては無償がほとんどで、交通費などは自腹のケースも少なくない。メジャーのステージに立てたといえどもメディアへの露出がないと、いわゆる”芸能人”としては認められないし、また自らも自覚できなかったりするが、やはり日本ではテレビに出ているかどうかで扱いが大きく変わる。

 欧米では、俳優は「テレビ<映画」、モデルは「テレビ<ショー」、歌手も「テレビ<ステージ」という図式が成り立っているが、日本は何よりもテレビが活躍の象徴だ。つまりテレビに出ていれば売れている、出てないと売れていないという印象になるが、そのテレビの出演ギャラは意外に少ないのが実情だ。

 特に俳優や音楽系の歌手の場合は、テレビを広報の場として活用しているのが実情で、テレビ出演することで自身の活動や関連する商品をPRの場に過ぎない。音楽番組やバラエティ番組でのゲストトークなどはその代表例だ。本業(CDやドラマ・映画)の宣伝が主たる理由だから特にギャラは発生しないが、いわゆる「テレビタレント」は事情が異なり、当然ギャラが命になる。

 出演するだけで儲かるという単純な計算にはならないが、バラエティなどではその種のタレントや芸人らはテレビがないと生きていけないわけで、そのギャラは数万円から高くても30万円という相場になっている。ひな壇芸人は請求書ベースで10万円以下が妥当(諸雑費込み)が予算の範囲だ。

 特に最近のバラエティは「質より量」の傾向が高く、賑やかに楽しそうな場面を構成させるためにやたらに多くのタレントを導入する。要するに単価が高いか安いかである。作り方としては安くて多いほうがバラエティとしては向いているし、穴埋めやネタも上がりやすいので便利でもある。

 もっとも番組のあり方次第の話だが、本人の取り分が1本3万円としても週一レギュラーなら12~15万円が番組一本で入るし、不定期な出演と営業やイベントも合わさって週に5本程度なら収入も50万円を超えてくるので、タレントとしても恥ずかしくない生活は送れるだろう。

 一方、同じテレビでも冠やMCともなれば年間契約で億単位は下回らないのが最近の相場だ。最も稼いできたのはタモリさんやみのもんたさんでレギュラー1本が300万円から特番では500万円以上の収入を得ていた時代もあったが、最近では予算も抑えられ、最高レベルの中居正広で1本300万円といったところだ。

 局アナが独立したり移籍したりと会社員から転身する場面も多いが、会社員とタレントでは収入も10倍は違ってくるのでテレビ局所属の社員だとしても人気者はフリー転身を誰でも一度は考えるところだ。そういった意味でも芸能界はその欲望を掻き立てられる世界ではあるが、不安定な世界でもあるので最高月収5000万円でも今月は5000円という一発屋芸人のような話がリアルにある。

 しかし一般人において一度でも数百万円から数千万円、下手したら億単位の報酬が短期間で得られるなんて経験はまずあり得ない。一度でも夢が見られるのなら十分だとも思えるが、知り合いの元プロ野球選手は契約金でもらった5000万円はすぐになくなり、年俸でもらった数百万円は生活費で消え、解雇されたときには貯金もゼロですぐに勤め先を探したそうだ。

 契約金の5000万円もの大金、今となっては何に使ったかさえ覚えておらず、資産的にも全く残っていない様子だった。有吉弘行くんが言っていたが、売れるとか売れないとか関係なく、「生活」を変えなければ何も変わらないし怖くもないというのは素晴らしいスタンスだ。浮かれてると足も身も掬われて弾けてしまうから、背丈・身分にあった姿勢を忘れないようにという教訓にもなる。

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