高齢化するアイドル王国ジャニーズ”中年ジュニア”の出処進退|平本淳也のジャニーズ社会学 (3/3ページ)
■中高年のジャニーズジュニアが大ブレイクする可能性はあるのか?
芸能界も高齢化していることから30代の男女がブレイクするのも珍しくはなく、特にドラマなどで注目を浴びるケースは多くなってきている。そういった観点からすれば中高年でもまだまだイケる世界ではあるが、ジャニーズに限るとまずない。再ブレイクは割とあるが新規デビューから目指せるトップアイドルの地位は、中年王手の連中には限りなく厳しい。
またアイドルではなく俳優としてなら、ジャニーズのまま花開くかと思いきや、実はその俳優部門が非常に弱いのもジャニーズなのだ。福山雅治や星野源のようなアタリはジャニーズにはない。小さなころからジャニーズで活躍する生田斗真や風間俊介らの俳優陣も決して将来安泰なわけではない。ましてやまだ知られていないジュニアからブレイクするアラサーなどまず考えられない。いわゆる遅咲きジャニーズというのも限定的で高齢化している中でも20代が限度だ。
僕がいた頃のジャニーズは暗黙の了解で20歳までに何とかならなかったら辞めようというケースが多く、断続的にも仕事があれば20代半ばまでは引っ張れるものの、30歳近くなると夢より生活を重視するようになり、諦めていくというのがほとんどだった。しかし現在は、それが10歳引き上げられて、30歳までは頑張れる環境になり、また周りからも「辞めたらもったいない」と応援され、40歳手前までずるずるとジュニアを続けるようになる。
15年ほど在籍しているあるジュニアが、「一体、どうすれば良いんですかね、おれ」と悩んでいることに、僕もまた「辞めるのはもったいない」とは言うものの、「ただね、ジャニーズだって永遠ではないからね」とやはり年齢が若いということが大きな売りになり、その可能性は年々と縮小していくこと。中高年のジュニアに活躍の場はないことを説明する。近藤真彦や解散していない少年隊、光GENJIと男闘呼組の元メンバーら中年も揃っているが、音源デビューするなど多くの実績を残してきた彼らにしても、大活躍しているわけではない。現役感があるのは東山紀之くらいのもので、ほかの連中は何をしているのかまったく伝わってこない。
そんな先輩らの姿を見ていれば自分の先行きも不安になる。今までがダメだったなら、素直に諦めるべきなのだが、ジャニーズにいるとその環境が冷静な判断を狂わせる。ジュニアがジャニーズにいられなくなるのは「ジャニーさんに嫌われたとき」ということも分かっているので、それが訪れないと決断も出来ない。それでなくてもジャニー喜多川さんは、メリーさんのように「出ていけ」とは言わないのだ。静かに無視するのがジャニーさん流。それをされたら静かに去っていくのがジャニーズの流儀だが、それに気付かないとしたら、タレント以前に人間としてもどうかと思う。
著者プロフィール
ジャニーズ出身の作家
平本淳也(ひらもと・じゅんや)
ジャニーズ出身の作家で実業家。著書34冊のベストセラーを誇る売れっ子の物書きとして、テレビや雑誌など多くのメディアに記事やコメント提供。実業家としてはコンサルティング会社や芸能プロダクション、レコード会社などを運営し、タレントから起業家まで幅広い活動の支援を行っている。http://vjsv.com/