高齢化するアイドル王国ジャニーズ”中年ジュニア”の出処進退|平本淳也のジャニーズ社会学 (2/3ページ)

デイリーニュースオンライン

■ジャニーズジュニアが40歳、50歳まで夢を追い続けるのは間違い?

 演劇の世界では中年になっても定職に就かず、チケットノルマに追われながらバイトで生計をたてようとする俳優が非常に多くいる。みんな好きなことを続けて何が悪いのかと正当化する。決して悪いことではないが、人生それで良いのか? と聞けば「良くない」と答える。つまり上を目指して俳優として生きていける目標があるので、このままではアウトだが、その先には希望があるという。

 それはそれで一見、素敵な感じもするのだが、40歳、50歳にもなってそれでいいいのかしら。バイトしていても体力的に厳しいだろう。働くことはよしとしても出世や収入面、老後の事や伴侶まで考えたら決して良い選択ではないはずだが、ときに夢や希望は人生を狂わしてしまう。

 根本的に芸能界を目指すこと自体、頭か性格か精神的か、どこかがオカシイ。一般的な例で言えば、学校行って就職して、結婚や出産で家族を持ち、家を買ったり旅行したりと手に届きそうな目標と幸せを望んで、その当たり前を一生懸命に生きるだろう。どこでどう間違って芸能界に興味を持って齧ってしまったのか、人生の大失敗に至っても気がつかないし認めない。

 夢を追いかけている間は決して認めないのだ。好きなことを続けていける自分に酔いしれるとでも言おうか、世間一般からしてそれは妥当ではなく、親や兄弟からしたら迷惑な話でもあるし、そういう相談も結構来るのでよくわかる。確かに先のことはわからないが、諦めも肝心だし、人生には岐路もあれば、そこに変化や進展が伴って環境を形成していくはずが、10代のころから40年経っても同じ夢を見続けていく姿は悲惨でしかない。

 他人がとやかく言うことでもないが、「いつかはメジャー」という夢はほとんど叶えられた試しがない。音楽でも演劇でも同じで、この世界を目指そうとする者は数万分の一の確率でその夢を見る。

 ジャニーズの中にもそういった「いつかはメジャー」な夢を持ち続ける高齢ジュニアが多い。高齢化したアイドル王国には20代後半から30代のジュニアも多く存在する。同世代でもグループやユニットも多く作られているが、念願のデビューには届かないまま年を取っていくのも辛い。しかもそこそこ人気もあって集客も出来るのに表舞台の主役にはなれないという立場は、ジャニーズと言えども悲惨だ。

 だったら辞めてしまおうかと思えばそれも決断は難しい。せっかく選ばれて何年も頑張ってきたのに、グループのメンバーにもなって今更やめられない。昔なら20歳までという暗黙の辞め時があったが、その「辞め時」がわからなくなる。そこそこ有名で人気があるので「イケる」という確信もあり、また続けていなければ手にできない夢があるから自ら「はい、おしまい」にはしたくない。

 前出のように稼げるジュニアもいればそうでないのもいるが、稼げても舞台やコンサートにお呼びがかかる一定期間だけで安定収入とはいえない環境だ。そうして時間ばかりが過ぎていき、不安なまま中年時代に突入する。「ひとつ違えばSMAPや嵐だったのに」と同世代の活躍を後にしてジャニーズを去っていく彼らには、人生を取り戻す事は容易ではないと気付かされる。アイドルから一般人への転身はそう簡単にはいかないからだ。

 ダメなら諦めて辞める。芸能人やプロスポーツ選手を目指そうとすれば実力と共に時間との戦いもある。掲げた目標の賞味期限は自らの年齢という時間だ。ボクシングのようにプロ資格への挑戦が決められた年齢であれば分かりやすいが、野球やゴルフは挑戦し続けられるゆえ30歳前後でもプロ志願者は多く存在し、特にゴルフは中年からのデビューも少なくない。

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