中国初のクライオニクスが行われる。49歳女性の遺体が人体冷凍保存へ (2/4ページ)
このようなプロジェクトは科学的に本当に実現可能なことなのだろうか?
これは、ヒト生物学をより理解するための単なる実験ではないのか? それとも、人体冷凍保存は将来的に可能な選択肢になるのだろうか?
冷凍保存は、タイミングがすべてだ。心臓が止まったらすみやかに遺体を凍らせなくてはならない。なので本当は冷凍という言葉は、この場合ふさわしくないかもしれない。人体冷凍保存は、実際は遺体の組織細胞にダメージを与える氷晶ができるのを厳密に避けるための処置だからだ。
単なる冷凍ではなく急冷凍というのが、正確な言い方かもしれない。
遺体を腐敗させず、長期間低温で保存してもダメージを与えないために通常使われるものは、グリセリンやプロピレングリコールのような保存用化学混合物に不凍剤を加えたものだが、そこで終わらず、死は終わりではないという真逆の考えに対応するために、遺体は特別なケアを施される。
・新たな技術に望みをかけて
冷凍保存の目的は、いつの日か遺体を解凍して、細胞レベルで生き返らせることだ。しかもできれば、遺伝子が原因ではない後成的な変化があまりないことが望ましい。
もっと進んだ新しい技術が出てくれば、冷凍保存した遺体を生き返らせることも可能になってくるかもしれない。だが現在の知識と技術では、死を完全にひっくり返すことは不可能だ。
死からの復活に一番近い体験は、心臓細動除去などによって患者が臨床的な死から息を吹き返すケースだ。
人体冷凍保存は、極めて短い間に最大限の効果が出るタイミングを狙って行われるが、死はとらえどころのないグレイゾーンだという信念の中で機能する。決定的に明確な出来事というより、ひとつの過程なのだ。