田園調布に空き地続出「高級住宅地」もゴーストタウン化顕著

まいじつ

SUYA / PIXTA(ピクスタ)
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1980年に「田園調布に家が建つ!」という星セント・ルイスのギャグが一世を風靡した。このように、田園調布に住むことは成功者や資産家の証しだった。それから約40年、田園調布だけでなく、成城学園前や兵庫県芦屋市といった高級住宅地が現在、ゴーストタウン化の危機に陥っている。

「住民が亡くなったあとに売りに出されても、敷地面積の広い住宅は販売価格も高額で、それを購入できる人は限られています。住環境を守るために、土地を小規模に分割して販売することは禁止されており、これらの地域は、『第一種低層住居専用地域』であるため、建物の高さに制限が設けられています。そのため、事実上は3階建て以上の建物を建てられません。したがって、売りに出された土地を買って、マンションを建てようというわけにもいかないのです。もちろん事務所や店舗も建てられません」(不動産専門誌ライター)

高額物件である上に、制限が多いものが多いのだという。さらには、簡単に売却価格を下げられないといった理由もあるそうだ。

「もともとの不動産価値が高いため、不動産に抵当権等が複数付いていたり、相続人が多数存在したりと、価格を下げての処分が簡単にはできない物件も多いのです。なかには生垣や庭の確保が義務付けられている地域もあります」(同・ライター)

高級住宅地は「住みやすい土地」とは限らない

東京では目黒区八雲や柿の木坂、品川区の御殿山などの“城南五山”と呼ばれる地域も、土地が高くて売れない家が放置され、高級住宅街としての質を維持するのが危ぶまれている。しかも、仮に価格を下げて売ったとしても、庶民には到底住みづらい場所だという。

「高級住宅街の住人の移動は、運転手付きの自家用車の利用が多いため、電車などの公共交通機関の利便性がいいとは言えず、家事代行業の人たちが日常品の買い物や用足しをしてくれるので、食品スーパーやコンビニが近くにないのが普通です。また、協定などを守るための生垣など、維持に掛かる費用も多額になり、庶民感覚に合いません。さらに空家が増え、手入れの行き届かない区画が増えると、高級住宅地としてのブランドにも影が差し、治安の不安もあって市場での流通が難しくなります。そんな状況になれば、宗教法人にゲスト・セミナーハウス用の物件として目を付けられたり、得体の知れないシェアハウスとして活用が検討されるという話も出てきます」(同・ライター)

宝くじの一等前後賞がまとめて当たったとしても、庶民は決して住むべき街ではないのかもしれない。

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