日野皓正の往復ビンタ:ロマン優光連載91 (1/3ページ)

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日野皓正の往復ビンタ:ロマン優光連載91

ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第91回 日野皓正の往復ビンタ

「え、あの世界的に有名トランペッターの日野皓正さんが男子中学生に往復ビンタ?」
 往復ビンタなんて、昔の学園エロコメ漫画の「強風にスカートが煽られて下着が見えてしまったヒロイン。それを偶然見ていた主人公は鼻の下を伸ばし、ヒロインは羞恥の念から往復ビンタをくりだす。」というシチュエーションでくらいでしか、お目にかかることができないもの。漫画の世界ならともかく、現実の世界では普通に暴力。しかも日野皓正は74才の成人男性。それが子供に対してビンタとはおだやかな話ではありません。一体なんでそんなことに?

 中学生で編成されたジャズバンドのライブ中、各人がソロを順繰りに回していくパートで、ドラム担当の男子中学生がいつまでたっても演奏をやめず、他の子たちにも指示をだして一時はフリージャズのセッション状態に。しかし演奏に落ちをつけられないまま、再びドラムのソロ状態。指導者の立場である日野さんの指示にも従わず延々と演奏を続ける彼のスティックを取り上げるも、それでも素手でドラムを叩き出す。結果、日野さんが彼の髪をつかんでからの、往復ビンタ。世田谷教育委員会主催の「新・才能の芽を育てる体験学習」のひとつとして、世田谷区立中学の生徒から希望者を集めてジャズを学ぶ「Dream Jazz Band Workshop」。中学生たちは4ヶ月間、日野皓正をはじめとするプロのジャズ・ミュージシャンに指導をうけ、その最終段階として、世田谷パブリックシアターで実際の観客の前で演奏するという感じのプロジェクトですが、そのライブ中に起こった出来事です。少年の行き過ぎた行為に日野さんがキレてしまった、そういう風に見えますが、そんなに単純なものでしょうか。
 少年のやったことは完全に間違っていたかといえば、そんなこともありません。横山光輝の『三国志』の内容を三行で説明するぐらいの勢いで恐ろしく雑に言ってみるなら、たとえ一応のルールが決められていたとしても、それから勝手にハズれていってもいい世界なんですよね。その演奏でステージに立ってる他の人間や聞き手を納得させることができたら全部OKなんだと思います。他のメンバーを巻き込んでいくところまでは全然ありなのです。

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