血液1滴でがん13種類診断 死亡率を劇的に減らす次世代の早期発見検査 (2/2ページ)
国立がん研究センターや国立長寿医療研究センターなどに冷凍保存されていた約4万3000人の血液を使い、前述の13種類のがんに特徴的なマイクロRNAを調べたところ、それぞれのがんに2〜10種類の特有のマイクロRNAがあることが判明した。
「この分泌量の変化を調べることで、どのがんも95%程度の確率で発見できたという。たとえば人工知能を分泌量の分析に利用すれば、精度をさらに高められる可能性もあります」(医療関係者)
調査で使用された長期間保存の血液は、マイクロRNAが変質している恐れもある。そのため今後、新たにがんと診断された3000人以上の新鮮な血液を採取し、有効かどうかを調べる臨床研究を進めるという。
「チームは、まず乳がんの検査法としての承認を目指したいとしている。検査によって、がんの有無、さらには“どのがんを患っているのか”までがほぼ確実に診断できるようになれば、患者への負担は相当減る」(医療関係者)
がんの場合、自覚症状がなくても病気が進行しているケースは稀ではない。発見できたはいいものの、診断した医師に「もっと早い段階で来てほしかった」と言われ、ショックを受ける患者も多い。かと言って、一般的な健康診断レベルでさえ、発見するためには大腸がんなら便潜血検査、乳がんならマンモグラフィーなど、部位ごとの検査が必要となり、手間も時間もかかるのが現状だ。
「そのため、がん検診ともなれば受診する人の割合は3割程度と低いまま。もちろん、その検診も、がんの種類ごとに受けなくてはならず、自費で受けるとかなりの額になる。結果、治療も後手に回ってしまうのです。そのため、もっと手軽に、できれば1度に複数のがん検診ができる技術が求められていたのです」(医療関係者)
ただし、いざがんと診断された場合、治療についてはまだまだ進歩が求められているのも事実。
内科医で関東医療クリニック院長の松本光正氏も、現状に対してこうした厳しい見方を示す。
「確かに今回の開発は、科学の進歩でしょう。がん恐怖症の人には朗報ですが、では、見つかった後、治療法があるのでしょうか? がんの治療法はいまだ皆無の状態。診断技術は進歩しましたが、治療がないわけです」
加えて、世田谷井上病院の井上毅一理事長はこう言う。
「がんセンターの検査法に確実さがあるかどうかが問題です。部位にもよるが、がんであるかどうかは触診で分かる。いまはまず、医者としての能力も求められている。それに、がんセンターのような大きな病院はともかく、最初はどこでもやれるわけではない。おそらく実用化するには5年はかかるでしょうね」
いずれにせよ、がん治療法の進歩とともに、新たな段階に入りそうな早期発見の診断法に期待したい。