窪美澄、新刊『アニバーサリー』を語る(1) (1/2ページ)
出版界の最重要人物にフォーカスする『ベストセラーズインタビュー』!49回目の今回は、3月に発売された新刊『アニバーサリー』(新潮社/刊)が好評の窪美澄さんです。
『ふがいない僕は空を見た』で第24回山本周五郎賞、『晴天の迷いクジラ』で第3回山田風太郎賞を受賞した窪さんは今最も勢いのある作家。そんな窪さんに、新刊について、読書について、さらには創作者としての才能についてと、さまざまなテーマでお話を伺いました。
■「様々な時代に生まれた人たちの人生を多層的に書こうと思った」
―本書『アニバーサリー』を拝読して最初に目を引いたのが、東日本大震災の描写です。まず、震災が窪さんにとってどのような意味を持っていたのかをお聞かせ願えればと思います。
窪「この作品はもともと『週刊新潮』に連載していたものなのですが、そのお話をいただいたのが震災の三カ月後くらいだったんです。週刊誌に連載するのであれば、世の中で起こっていることと多少リンクさせたい気持ちがありましたし、あまりにも大きな震災だったので、書かざるを得ないと言うと大げさですけど、書いた方がいいんじゃないかとは思っていましたね。
ただ、地震ありきの作品ではなく、元々は女性の一代記を書きたいというのがあって、アイデアとしてはそちらの方が先でした」
―『アニバーサリー』というタイトルはどのような意味を持っているのでしょうか。
窪「“記念日”っていうとおめでたいイメージがあるかもしれませんが、祝う意味だけではなく、その日を呪うという意味もあるのではないかと思うんですね。
終戦記念日にしても、戦争が終わって良かったっていう国もあれば、そこから負けが始まったという国もある。この本では、3月10日の東京大空襲と8月15日の終戦記念日、3月11日の東日本大震災という3つの大きな出来事があった日に、登場人物の女の人の人生が変わってしまいます。