世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第238回 資本主義を破壊するデフレーション (2/3ページ)
設備投資、人材投資、技術投資により生産能力を高めることこそが、資本主義の基本なのである。結局、現在のわが国では資本主義が成り立っていないという話に尽きる。
ちなみに、日本の長期金利は本稿執筆時点で▲0.01%と、またまたマイナスの領域に突入している。長期金利は、設備投資のために銀行融資を受ける際の基準金利だ。資本コストが史上最低な状況であるにも関わらず、企業は投資をしない。それどころか利益が増えても、投資を増やさずに現預金で貯め込む。
人口構造の変化で、日本は明らかにインフレギャップ(供給能力不足)の状況に移行しつつあるにも関わらず、投資に踏み出せない。理由は、
「目の前の需要が継続することを信じられない」
「人手不足が継続することを信じられない」
の2つが大きいのだろう。何しろわが国は20年もデフレーションが続き、「需要不足&人手過剰」の状況が続いてきた。
人手不足かつ長期金利がゼロの状況においては、本来は生産性向上のための投資をすることが合理的となる。とはいえ、日本の経営者の「気持ち」的には、いかなる状況になろうとも投資をしないことが合理的になってしまっているのだ。つまりは、デフレ精神だ。
というわけで、政府が財政出動をコミットし、長期の安定需要が見込めるようにならない限り、日本国民のデフレ精神は払拭できない。短期の需要創出ではだめなのだ。あくまで「長期」が必要なのである。
上記を認識した時、わが国において、
「政府が全国の防災や交通インフラ整備に支出するために、公共投資を継続的に増やす」
ことが、いかに合理的であるか、誰にでも理解できるはずだ。民間が投資をしない以上、政府が投資をするしかない。
とはいえ、相変わらずわが国の政府は、存在しない「財政問題」とやらに足を取られ、財政出動という正しいデフレ対策に踏み出せずにいる。しかも、財務省やマスコミは十年一日のごとく、陳腐な「国の財政を家計に例えると」というレトリックで国民の危機感をあおり、政府のデフレ対策を妨害してくる。
もっとも、変化の兆しがないわけではない。