世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第238回 資本主義を破壊するデフレーション (3/3ページ)
日本の「存在しない財政問題」をあおり続けてきた戦犯の1人である日本経済新聞がコラム『大機小機』(9月2日付)において、何と「国を家計に例えるのはやめよう」と、恐ろしく真っ当な記事を掲載したのである。『大機小機』において、日経新聞は、
「国と家計は異なる。家計は徴税できないが国はできる。通貨発行権という形の徴税権もある。財務省は借金を減らそうと増税を好むから、この間違いは議論を混乱させる」
「国の財政を家計に例えるのは紛れもない間違いである。政府が間違ったことを公にしているのは問題があるだろう」
と、財務省が政府の財政を「家計」に例えているレトリックを批判した。財務省のホームページには、いまだに「日本の財政を家計に例えると、借金はいくら?」という項目が存在する。そして、「日本は月収50万円の家計が80万円の支出をし、不足分30万円を借金で賄う結果、ローン残高が8400万円に達している」などと、荒唐無稽なレトリックで国民の危機感をあおっているのである。
そもそも、『大機小機』にもある通り、徴税権や通貨発行権を持つ日本政府と、持たざる家計を同一視している時点で、財務省のレトリックは異常極まりない。しかも、日本政府の負債は100%日本円建てだ。子会社の日本銀行に日本円というおカネを発行させ、国債を買い取らせることで、借金の実質的返済負担が消滅する日本政府を、家計と同じ土俵で語れるはずがない。
日本政府は、財政など気にせず、企業に代わり投資を拡大しなければならない局面だ。政府が大々的な財政出動に踏み切らない限り、わが国が資本主義を取り戻す日は、未来永劫訪れない。
みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。