世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第239回 失業率と実質賃金 (2/3ページ)

週刊実話


 それはもちろん、フルタイム雇用が短時間労働に切り替えられているわけだから、名目賃金の平均値は下がる。結果的に、実質賃金も下落するわけである。

 実質賃金とは、物価の上昇率を控除した賃金になる。例えば、給料が5%上昇したとする。同じ時期に物価が10%上昇してしまうと、稼いだ給料で購入できるモノやサービスの量が減ってしまう。これが実質賃金の下落、分かりやすく書くと「貧困化」だ。逆に給料が5%上昇したのに対し、物価は2%しか上がらなかった。この場合、稼いだ給与で買えるモノやサービスの量が増える。実質賃金の上昇、つまりは「豊かになった」わけである。
 日本の実質賃金は、橋本政権が緊縮財政を強行('97年)し、経済がデフレ化した以降、恐るべきペースで下落していった。直近の実質賃金は、何とピークの'97年と比較し、マイナス15%。日本にとって過去20年は国民が貧困化していった歴史なのだ。
 念のために書いておくが、'12年に第二次安倍政権が発足して以降、実質賃金の下落はむしろ加速した。安倍晋三総理は日本の憲政史上、最も「国民を貧しくした」内閣総理大臣なのである。

 本来、有効求人倍率が1.5倍を超える「異常」な人手不足に突入している以上、企業は名目賃金を、物価上昇率を上回るペースで増やさなければならない。物価上昇率を名目賃金の増加率が上回れば、実質賃金は上昇する。ところが、名目賃金を引き上げるために必要な生産の拡大、生産性の向上は起きていない。
 実質賃金は「生産性向上」と「労働分配率」の二つの要因で決定される。生産性向上とは、生産者(労働者)1人当たりの生産の拡大のことだ。
 現在の日本は、相も変わらずデフレーションで、生産が十分に拡大していない。目の前の生産が増えているわけではない、あるいは生産の拡大を「信用できない」ため、企業は人手不足が日に日に深刻化する中においてすら、生産性向上のための投資に乗り出さない。結果、実質賃金は抑制される。

 さらに、実質賃金の低迷には、企業が労働分配率を引き下げていることも影響している。労働分配率とは、生産された付加価値(=所得)から人件費として分配される割合だ。
 企業が稼いだ所得から、従業員への分配を増やさなければ、実質賃金は上昇しない。
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