ドラッグ幻覚的アート「サイケデリック」の思い出
芸術の秋…というわけで、1960年代半ばにアメリカで誕生した幻覚剤『LSD』による幻覚体験が反映されたアート『サイケデリック』を振り返ってみたい。
カラフルで幻想的な芸術表現は、精神(サイケ)を拡張する(デリック)という意味で『サイケデリック』と呼ばれた。当時のアーティスト達は若者のメディアを舞台に、実験的で刺激的なサイケ表現を試みた。それらの作品はいまでも妖しい魅力を放っている。
13TH FLOOR ELEVATORS/サーティーンス・フロア・エレヴェーターズ(左上)
Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band/ザ・ビートルズ(右上)
Axis: Bold As Love/ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス(左下)
Disraeli Gears/クリーム(右下)
LPレコードの時代、アルバムジャケットこそはアートを表現するのに適したメディアであり、サイケアートの傑作が次々と誕生した。
本末転倒な気もするが、イベントやコンサートの告知をするポスターは、文字情報よりもサイケ表現を優先。
一世を風靡したサイケブームは日本の子供のカルチャーにも多大な影響を与えた。
見よ、この日東科学から1968年に発売された50円プラモデルの箱絵を。海外の名ロックアルバムと比べても全く遜色のないこのサイケっぷり!
なぜ妖怪がサイケになってしまうのかよく分からないが、当時それほど日本でもサイケ表現が流行していたということだろう。
アメリカを中心に広がったサイケデリックムーブメントの時期は、ベトナム戦争のときと合致する。ドラッグおよびサイケ運動は、どんどん泥沼化していく戦争というつらい現実から逃避するための手段だったのではないだろうか。
それなら現在、民主主義が機能していない悪夢のような状況にある日本で、いま一度サイケデリックが再評価されてもいいのかもしれない。
カムバック、サイケデリック!!