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保毛尾田保毛男問題:ロマン優光連載94

ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第94回 保毛尾田保毛男問題

 先月の末に放送されたフジテレビの『とんねるずのみなさんのおかげでした』の30周年記念スペシャル番組に28年ぶりに登場した保毛尾田保毛男というキャラクターが世間の論議をよびました。
 石橋貴明さんが扮する保毛尾田保毛男は80年代の一般層の考えるゲイのイメージをカリカチュアライズしたキャラクターであり、当時はたいへん人気のあるキャラクターでした。しかし、時代によるLGBTに対する理解や意識の変化や人権感覚の変化によって、現代では普通に考えてアウトなキャラクターだと思われます。
 表面的な問題でいえば、時代による意識の変化に対して非常に鈍感なフジテレビの感覚のマズさがあげられると思います。さすがにアンテナが低すぎませんか。「差別するつもりはなかった」というのは本音でしょう。あのキャラクターの存在で傷ついてきたゲイの人たちがいるということが全然わかってなかったのでしょうから、差別するもなにもなかったでしょう。しかし、さすがにメディアの人間としてリテラシーが低すぎるのでは。私は、全ての人間が心の底から全く何に対しても差別意識のない人権意識の高い高潔な人間でいられるとは思わないし、そうあるべきだとは思いませんけど、少なくとも他人に不快感を与えないように公の場でそういった意識を出すべきではないという常識は必要だと思いますし、メディアであれば、差別意識の云々ではなく、特定の表現で傷つけられたと感じる当事者が存在することを認識して色々と発信するべきだとは思います。とはいえ、こういったポリティカル・コレクトネスといわれるような概念が日本で浸透してきたのは、この数年のことなので、メディアの中に、こういった意識の変化が認識できてないところがあるのは仕方ないことかもしれません。なにしろ、今は過渡期なのですから。日本のテレビメディアが、人権団体の抗議をさけるために言葉狩りのようなことをして表面だけ体裁を整えて、問題の本質に触れないまま、「何が本当に問題なのか? 何が本当に相手を不快にさせているのか?」ということがわからずにきた結果が如実に現れた話ではあると思います。

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