学生の頃からの夢叶う。ジャパン入りの具智元、父の教えはデカくても低く。

ラグビーリパブリック

子どもの頃からよく食べて大きくなった。「牛より豚」。ラーメンはとんこつ派。

 普段からにこにこ笑顔。吉報が届いて、その目はどこまで垂れ下がっただろう。

 10月19日に発表された日本代表メンバーに具智元(グ・ジウォン)が入った。Honda HEATに加入して今年が1年目ながら、これまでにサンウルブズやジュニア・ジャパン、U20日本代表も経験している。やっと巡ってきたチャンス。あとはキャップを得るだけだ。

「どきどきしています」

 発表2日前(10月17日)の日本代表候補合宿の練習後、183㎝、122㎏の大男は穏やかな表情をしていた。

 この日は、37分間のスクラム練習があった。

 手応えがあった。

「忘れていなかった。安心しました。サンウルブズのスクラムとジャパンは、両方とも長谷川慎さん(コーチ)の教えなので、同じ組み方です。8人一体というのはホンダも一緒ですが、違うところもあるし、(スーパーラグビー終了時から)時間も空いていたので…。でも、今日で安心ました」

 胸を張って肩甲骨を寄せる。うしろの押す力を感じて、低く、そして8人が固まって前へ出る。

「いい感触でした」

 これまでもチャンスは何度かあった。実力も十分。ただ、タイミングが合わなかった。

 今春のアジア ラグビーチャンピオンシップ時はふくらはぎを痛めていた。拓大の4年生だった昨年の同時期にはサンウルブズに招集されてサクラのジャージーを逃す。

「でも、あのときは嬉しかった。(サンウルブズという)高いレベルで経験を積めた。認められているということですから」

 この秋は世界選抜、ワラビーズ、トンガ、フランスと強豪との試合が続く。押しまくりたい。タックルしたい。

 父・東春(どんちゅん)さんは元韓国代表で、アジア最強PRと呼ばれた人だ。息子たちへのラグビー教育にも熱心で、具は小学校6年時に兄・智允(じゆん/Honda/CTB)とNZに留学し、ウェリントンカレッジで楕円球を追う生活を経験している。その後、大分の中学に学び、同地の日本文理大学附属高校に進学。高校日本代表に選ばれ、拓大に進んだ。

「日本代表への夢は中学時代からのものです。それ以来の憧れでした」

 韓国に里帰りするたび、いまも父のスクラム指導を受ける。東春さんの現役時代なんてはるか昔のことなのに、なぜか長谷川コーチのアドバイスと重なることが多いと笑う。

「父は僕より背が高いのですが、低く、と言って、大きくても低く組むスクラムのコツを教えてくれます。勉強になることも、まだまだある」

 アジア最強PR(父)とスクラム番長(長谷川コーチ)の薫陶を受け、ここから世界規格のタイトヘッドPRへ加速したい。

 その先にワールドカップが待っている。

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