まるで写真のよう!ロバート・ブルームが描いた江戸の匂い色濃く残る明治初期の日本

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まるで写真のよう!ロバート・ブルームが描いた江戸の匂い色濃く残る明治初期の日本

1893年「飴屋」

ここに、明治時代初期の市井の風景を描いた一枚の絵があります。飴屋が葦の茎の先に溶かした飴をつけてぷうっと膨らませる、赤ん坊を背負った子供たちが目をきらきらさせてそれを見ている・・・なんとも微笑ましい光景です。え、写真にしか見えないって?そうでしょう。でもこの作品は、絵なんです。信じられないほどに精緻ですよね。この絵を描いた天才の名は、ロバート・フレデリック・ブルーム。1800年代末頃に活躍したアメリカの画家です。

1890年に33歳で初来日したロバートが、2年以上日本に滞在して描いた数々の絵を見ながら、明治初期の日本にタイムトリップしてみましょう。

「露店」制作年不明

さて、先ほどの飴屋の隣で商売するのは、ご維新の頃に流行りだしたゴム風船売りのおじちゃん。「たまだこ〜、たまだこ〜」と声を張ります。風船は丸い凧という意味で、球凧(たまだこ)と呼ばれていました。

「花売り」1891年

こちらは一服している花売りの兄さん。これでもかというほど、籠の中は菊花であふれています。時代は変わっても、江戸の菊好きは変わらなかったようです。

菊見、菊酒、菊人形…。江戸時代、秋の花と言えば江戸っ子好みの華やかな「菊」

「桜」1892年

わあ、なんて見事な桜の花。女性の顔も花明かりに照らされてほんのり桜色です。

「化粧をする芸者」1890年

こちらの芸者さんは身支度の最中。ルノワールの絵のように美しい玉の肌を、天才ロバートはチョークのようなパステルだけで描いたというから驚きです。

「日本の娘」1890年

ロバートが描かずにはいられなかった魅力的な娘さん。素朴な姿ながら、自分が美しい事をちゃんと知っているという感じがします。

「歌舞伎役者」制作年不明

芝居見物はいかがですか。人気役者三人揃っての大見得が決まり、ヤンヤヤンヤの大喝采。ロバートも思わず、筆を取らずにはいられなかったようです。

「能」1890年

続いては能舞台にご案内。伝統を忠実に守り、今に伝わる能楽。シテの足もとから床に伸びる緋色の影が、えもいわれず幻想的です。

「絵本」1891-1893年

流行りの指輪をはめたきれいな指で、絵本のページをめくるお嬢さん。そんなにおしゃれして、何を読んでいるのかしら。

「絹物商」1890-1893年

これなんかどうだい。あら、素敵ね。こっちもいいわ。次から次へと紹介されるつややかな絹に、目移りしてしまう絹問屋の昼下がりです。

「通りの風景」制作年不明

鶏が餌をついばむ東京の朝。よく見ると、軒下には江戸時代にはなかったガス灯が。灯は入っていないけれどなんだかキラキラ眩しく見えます。

「お不動様の境内」1891年

富くじ、目黒飴、たけのこ、さんま・・・江戸時代には数々のブームを生み出し、庶民から厚い信仰を集めた目黒不動。ロバートも、親切な人から「Fudo sama」という呼び名を教えてもらったみたいです。ロバートが描いた明治初期の日本は、まだまだ江戸の匂いが色濃く残り、人も、町も、花も、犬も、鶏も、なんだか皆んながほっこり幸せそうですね。

「休息」制作年不明

あら、こんなところで無防備にお昼寝している女性が。あんまり気持ちよさそうだから、邪魔しないようにそうっと、そうっと。

画像出典元: The Athenaeum

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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