花園出場は「本当にすごいこと」。友人同士が辿ったそれぞれの運命。 (1/2ページ)
目黒学院の優勝に感極まるその男子高校生は、同校の生徒ではなかった。他校のラグビー部員だった。
11月12日、東京・江戸川区陸上競技場でおこなわれた東京都第1地区の花園予選決勝で、目黒学院は38-7で早稲田実業を降した。
4年ぶり18度目の花園出場を決めた目黒学院メンバーは、表彰式を終えると、優勝旗をたずさえて正面スタンドの前に整列した。秋晴れの下で一礼すると、スタンドからは温かい拍手が送られた。
そんな目黒学院の姿をスタンドから見守っていた男子高校生、手塚竜闘くんは、溢れる感情をこらえきれなかった。
東京の代表になることの難しさなら、身に染みている。
友の雄姿がまぶしかった。
手塚くんは都内の高校に通う3年生。同校ラグビー部で汗を流してきた。
ラグビーとの出会いは中学3年生の冬。東京・日野市立大阪上中学校では野球部員だったが、2015年1月、新春のラグビー中継で楕円球の魅力に触れた。
「テレビで観て『かっこいい』と思いました。中学3年生の正月です。第一印象で『やってみたいな』と思いました。たしかヤマハ発動機の試合でした」
そうして中学卒業後、進学先のラグビー部に入部。
驚いたのは、日野市立大阪上中で野球部のチームメイトだった親友も、目黒学院でラグビーを始めていたことだった。
友の名は鈴木勇志といった。
「小学校から一緒でした。中学時代はずっと一緒にいました」
共に白球を追いかけた中学時代は、二人でよく素振りをしていた。
「中学時代、夜に一緒に素振りをしていました。『やろう』と言うと、彼は嫌とも言わないで、自転車で来てくれて。夜遅くまで素振りをして、すこし喋ったりして。それが一番楽しかったです」
ラグビー部員となった日野市立大阪上中の二人は、同じフロントローとして高校3年の秋を迎える。しかし花園予選で辿った運命は、別々だった。
手塚くんの所属するラグビー部は9月24日、都予選の1回戦で破れた。
突然のノーサイド。