米傘下企業の統合失敗でソフトバンク携帯電話事業に暗雲 (2/2ページ)

週刊実話


 「そこで、ソフトバンクとしては、買収、さらには統合によって顧客基盤を固め、投資力をアップさせることが必須なのです。実現すれば資金力も安定し、融資を得るにも余裕で勝負できますからね」(同)

 こうした狙いをもとに、孫社長がスプリント買収をしたのが4年前。当時の額で216億ドル(日本円で1兆8500億円)という巨額投資で、本来であれば、'15年頃にはTモバイルUSとの合併を見込んでのものだった。ところが当時、オバマ政権下の米連邦通信委員会(FCC)が通信事業の寡占を危惧して統合に反対したため、頓挫していたのだ。
 そのため孫社長は昨年12月、大統領に就任する直前のトランプ氏に直談判し、日本円で5兆7000億円の投資と、5万人の雇用創出を約束するなど周到な根回しを展開。トランプ政権では、FCC委員長に規制緩和派が指名され、今回は統合が認められると見られていた。
 「しかし、TモバイルUSは、データ通信の無料化など大胆な利用者獲得への改革で、最新の決算では5億5000万ドルの純利益を稼ぎ出すなど、急激に業績を伸ばしていた。強気なTモバイルUSに、ソフトバンクとしても主導権を取れない統合は意味がないと、撤退を決めたのです」(同)

 ゆえに、一時ソフトバンク株は急落したが、孫社長は「今は5年、10年後を見据えた決断ができたと晴れ晴れした気持ちだ」と述べ、あくまで前向きな姿勢を崩さない。
 この背景には、今後のIoT事業で要となる、チップ半導体事業で世界最先端を行く、傘下の英ARM社の存在があるという。実際、孫社長は「ARM社や、衛星ブロードバンドサービス実現を目指すOneWebへの出資で、新通信事業では他社の追随を許さない。スプリント単独での成長は大いに可能」と述べている。
 ただし、アナリスト間では、「スプリントが現実的にソフトバンクの金食い虫から脱却するという保証はない」との声も聞こえてくる。

 ソフトバンクは11月6日、'18年3月期第2四半期決算を発表。売上高は前年同期比3.3%増の4兆4111億円、営業利益は35.1%増の8748億円と、スプリントの合併破綻のダメージはまったくない。しかし、同社を今後どうソフトランディングさせられるか。それがソフトバンクの明日を決定づけることは間違いない。
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