三田佳子が「不肖の息子」のために頑張っていたころの映画作品

まいじつ

三田佳子が「不肖の息子」のために頑張っていたころの映画作品

作品目『別れぬ理由』

東映/1987年
監督/降旗康男
出演/三田佳子、津川雅彦、古尾谷雅人ほか

女優・三田佳子の次男が《愛人に暴行を働き、また警察ざたに》と女性週刊誌に報じられている。その次男といえば19年前の18歳のときに、自宅地下のパーティールームで乱交したことが発覚、その後も覚醒剤で逮捕された“不肖の息子”で、三田もさぞ悩みの種だろう。彼女を何度か取材しており、大女優らしからぬ気さくな人柄が素敵な女性なのに、何とも残念なことである。

時を同じくして、別の女性週刊誌では《津川雅彦が肺炎で緊急入院》と報じられていた。三田・津川コンビで思い出すのが、ちょうど30年前に作られたこの作品である。中年カップルが、互いに浮気(不倫)をしながら、狐と狸のバカし合いよろしく、夫婦ゲンカをしながらも、それでも別れないあたりが面白い、渡辺淳一原作の大人のセクシー・コメディーで、この手の邦画では奇跡的にハリウッド映画の“夫婦もの”の快作に伍するほどの出来。降旗監督は、高倉健映画の名手として知られ、本年も岡田准一主演の『追憶』がある大ベテランだが、こういうタッチの作品は実に珍しい。

何しろ、三田・津川の芸達者ぶりと当時ふたりとも40代後半の“男盛り・女盛り”の年齢から醸し出される何とも言えないナマ臭い味わいがイイのだ。医者と雑誌記者のキャリア・ウーマンという設定もいかにもで、夫は人妻と、妻は若いカメラマンと関係を持つ。会話も描写も相当アケスケでリアルなのだが、このふたりが演じると洗練された“艶笑ムード”になるのがさすが。犬も食わないはずのお互い罵倒合戦となる夫婦ゲンカ・シーンも大いに見ものである。

ヌードシーンのために豊胸手術をしようか悩んだ三田

津川は、往年のプレイボーイ男優だけあって、南條玲子との“からみ”はねちっこくてエロいの何の。この“軽さ”が何より。一方負けじと(?)三田もヌード・シーンに挑んでいて、眼福ではないか。かつて彼女に取材したとき、そのこともズケズケ聞いたことがある。「私、胸が大きくないから悩んで、豊胸手術をしようかしらと思ったほど。業界のいろいろな人に聞いても『今だからやるべき』と背中を押すばかり。同じ女性なら分かってくれるかと思って石井ふく子さん(テレビ界の大プロデューサー)にも聞いたら『佳子ちゃんなら大丈夫よ』とけしかけられて引っ込みが付かなくなって(苦笑)。でも吹き替えでごまかすは嫌だし、もう開き直って頑張りましたよ」と堂々と答えてくれたものだ。さすが大女優!(ちなみに、相手役は当時若手の古尾谷雅人。だが、後に彼は自殺してしまった)。

三田佳子さんの心境も察しながら、津川雅彦さんの容体も心配しつつ、30年前のこの“大人の映画の傑作”をぜひご覧あれ!

(映画評論家・秋本鉄次)

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