本好きリビドー(180) (2/2ページ)
それも高級店の元ソープ嬢、店長・従業員、風俗街を取材することで生計を立てているカメラマン、吉原へ来る客を送迎するベテランタクシー運転手など、まさに「吉原で生きている人々」への取材を通じ、時代の流れに取り残されつつあるこの風変わりな街の現在の姿を伝えている。
どの取材対象者も、おしなべて高齢だ。少なくとも若者はいない。そのことが吉原の現況を物語っている。近隣の上野、浅草、東京スカイツリーといった観光地が2020年東京五輪に向けた再開発で賑わう中、“絶滅危惧種”といった様子でひっそりと生きている、そんな姿が浮かんでくるのである。
筆者も吉原のソープ嬢を取材する機会は多かったが、年々、オファーは減っている。理由のひとつはソープで遊ぶ客の高齢化だ。以前のように企業が接待で利用することもなく、かといって若い人は経済的余裕もない。少ない年金から工面し、月1度だけ“癒し”を求めにやって来るシニア層が多いと聞いた。
男を惹きつけてやまなかった不思議な街が、時代の変化にのまれていく様は、どこか郷愁を誘う。著者は風俗ライターの吉岡優一郎氏。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)