天皇陛下退位で「国民生活はこうなる!」

日刊大衆

天皇陛下退位で「国民生活はこうなる!」

 200年ぶりの生前退位で、日本に大きな変化が訪れる。祝日、呼び名、新元号――分かりやすく解説する。

■約200年ぶりとなる生前退位  約200年ぶりとなる生前退位の議論が加速。昨年8月に天皇陛下が退位の「お気持ち」を表明したメッセージを公表したことで、政府は陛下の在位期間を平成30年で区切りとすることでまとまっていたが、その2019年まで1年と迫っている。12月1日には皇室会議が開催され、いくつかの事項が決定。「天皇の生前退位は認められていませんでしたが、今回は特例法を成立させて実現することとなりました。これが大きなニュースであることはもちろんですが、国民生活にも大きな変化を及ぼします。決して、雲の上の出来事ではありません」(全国紙記者)

■『平成』から新しい元号への変更は!?  その筆頭が、現在使われている『平成』から新しい元号への変更だ。そもそも、元号は明治以降に『一世一元の制』が採られ、天皇一代につき一つの元号と定められていた。つまり、新天皇の即位と合わせて新元号へ移ることとなるのだが、元号制定にはルールが多い。事業構想大学院大学の鈴木洋仁准教授は「元号は元号法によって“6つの条件”がある」と解説する。その条件とは、「国民の理想としてふさわしいようなよい意味を持つ」「漢字2字であること」「書きやすい」「読みやすい」などだが、さらに鈴木氏は、「混乱を招く恐れがあるので、明治、大正、昭和、平成、のイニシャルであるM、T、S、Hとは重複しないものとなるでしょう」とも補足する。

 これらを踏まえて鈴木氏が考える候補は、『喜永』『景永』『感永』『化永』の4つ。いずれも、喜び、平和な景色、感性・感受性、平和な教えが永く続くようにとの意味が込められている。「日本という国の空間と時間を区切るもので、影響力が大きい」(前同)という元号だけに、その選定には慎重な検討が期される。『平成』と決める際にも、「発表の直前まで複数の案があり、報道などで“候補”が挙がるたびにその案が消され、最後まで残ったのが平成だった」(政治部記者)という経緯があるのだ。

●安倍晋三政権が元号決定の重責を担う  そんな元号を決めるのは、実は天皇ではない。元号法によって、『平成』以降は内閣が決定者となっており、今回は安倍政権がその重責を担うこととなる。「645年の『大化』から平成まで247個の元号がありますが、不確定なものもあるものの、そのすべてが中国古典由来といわれます。今回は安倍政権が選ぶため、中国古典からではなく、史上初めて日本の古典から選ぶのではとの憶測も出ています」(前同)

 もちろん、これは安倍晋三首相の思いが影響しているという。政治部記者が、内情を明かす。「新天皇の即位や改元に絡む総理大臣は極めて稀で、安倍総理は歴史に名を残すべく、主導権を握りたい。元号も、その一例でしょう」

●改元はゴールデンウィーク中に  一方で、安倍首相の“意向”が反映された可能性があるのが改元の日付だ。「当初、改元の日付は、新年度となる4月1日からの案が濃厚でした。しかし、すでに報じられたように、“天敵”の朝日新聞がこれを報じたことを受けて“朝日とは違うほうがいい”としたことで、5月1日からの案が急浮上した」(前同)

 表向きの理由を、19年4月に控える統一地方選などとしているが、神奈川大学の元学長で、現在は同校名誉教授の中島三千男氏(専門は日本近現代思想史)は、「政治都合が優先されるのはおかしいですし、何より、国民不在で一連の議論が進んでいることが問題」と、一刀両断する。その一方で、5月1日改元の国民生活への影響力はかなり大きい。

「この日はGWの真っただ中。祝日と祝日に挟まれた日も祝日にすると定めた祝日法によって、4月30日と5月2日も祝日となり、4月27日から5月6日まで10連休となるんです」(与党関係者)

■『即位の礼』の厳重な警備態勢は想像もできないほど  改元を安倍政権主導にする影響力は、このような休日の話だけでは収まらない。前出の中島氏は、「安倍総理は今回の新天皇の即位を、自分の力を誇示するよい機会と考えているのではないでしょうか」と危惧しているのだ。その格好の場となるのが、即位の関連行事である。「式典を取り仕切る立場として、今の天皇陛下の『即位の礼』よりも式典を大々的に行い、世界各国から参列する元首、首相らの数を多くするはずです。安倍内閣から援助を受けたい国はもちろんですし、米国のトランプ大統領も呼ぶでしょう」(前同)

 今上天皇の『即位の礼』には、158を超える国の元首や王族ら相当数の要人が来日した。それを上回るとなれば、日本が大騒ぎとなるはずだ。「前回の『即位の礼』が東京で行われたため、今回も東京になるでしょう。去る11月にトランプ大統領が一人来ただけで厳重な警備でしたから、『即位の礼』の警備態勢は想像もできません。経済も都内の交通も、平常通りとはならないでしょう」(前出の政治部記者)

 ちなみに、1990年にNHKが『即位の礼・正殿の儀』を中継した際は、その平均視聴率が31.9%を記録したそうだ。

■祝日が少なくなる  また、皇太子さまの即位によって、先に触れたGW以外にも祝日に変更が出る。現在、12月23日が『天皇誕生日』として祝日になっているが、皇太子さまの即位以降は天皇誕生日の祝日は2月23日となるのだ。しかし、この日にちが即位の日程より前であるため、「12月23日は祝日ではなくなるために、例年より祝日が1日少ない年となります」(女性誌皇室担当記者)

 昭和天皇の誕生日である4月29日は『みどりの日』として祝日になっているが、「祝日法は〈先帝崩御〉を祝日の条件にしているため、生前退位の場合は祝日にならないんです」(前同)

■天皇陛下は退位後は『上皇』に  また、天皇陛下の退位と皇太子さまの即位で、いくつか耳新しい名称もできる。「現在の天皇陛下は、退位後は『上皇』となり、皇太子さまに男子がいないため、皇位継承順位第1位となる秋篠宮さまは新たに『皇嗣』となります。また秋篠宮一家を補佐する『皇嗣職』も新設され、それに伴い、皇族費も年間3050万円から9150万円へ増える予定です」(前出の中島氏)

 現在、天皇、皇后両陛下を支える宮内庁の侍従職は77人。皇太子ご一家を支える東宮職は50人だが、「来年11月に結婚式を挙げる眞子さま、その美貌でフィーバーとすら呼べる人気を誇る佳子さま、そして現在の皇位継承順位が第3位の悠仁さまと、注目度は高いながらも秋篠宮を支える宮内庁職員はわずか19人。秋篠宮さまが皇嗣殿下になるわけですから、職員の増員は喫緊の課題と言えます」(民放局記者)

 天皇陛下が上皇になってからの生活はまだ不透明な部分が大きいが、「芸術鑑賞やテニス、被災地訪問などを続けられるでしょう。今までよりは時間の余裕ができるはずなので、我々市民との接点が増えるかもしれません」(前同)

 まもなく迎える、天皇陛下の退位と皇太子さまの即位。その歴史的瞬間を見守りたい。

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