奨学金の種類と申請の手続きは? あらかじめ知っておきたい基礎知識
奨学金とはどんな制度でどんな種類があるか、みなさんはご存知ですか? 「奨学金」は学生に対して「金銭の給付や貸与」を行う制度です。例えば「大学に行きたいけどお金がなくて行けない」という人にお金をあげたり、貸したりすることで、大学に行って学んでもらうというものです。その際に貸したお金は、社会人になってお金が稼げるようになったら少しずつ返してもらいます。この「少しずつ返してもらう」の部分が昨今問題にはなっていますが、そもそも奨学金にはどんな種類があり、どんな手続きを踏むことで利用できるのでしょうか?
■奨学金の種類は大きく二つに分けられる!
奨学金には、貸与型と給付型の2つのタイプがあります。貸与型は「返済する必要があるもの」で、給付型は「返済する必要のないもの」です。
まずは返済する必要のある貸与型ですが、こちらは利息付きと無利息のものがあります。例えば『独立行政法人 日本学生支援機構』(以下、JASSO)の奨学金制度にある貸与型奨学金は、無利息のものが「第一種奨学金」、利息付きのものを「第二種奨学金」としています。それぞれ以下のような特徴があります。
●JASSOの第一種奨学金の特徴
・貸与金額は約3-6万円(国公立か私立か、自宅通いか下宿通いかなど条件で金額は異なる)
・採用基準が厳しい
※金額は大学、短期大学生を対象にしたもの
●JASSOの第二種奨学金の特徴
・月額3万、5万、8万、10万、12万円の中から選ぶ(医学系学部の場合増額が可能)
・第一種よりは採用基準が緩やか
※在学中は無利子
※金額は大学、短期大学生を対象にしたもの
同じ貸与型でも、無利子のものはやはり基準が難しく、学業でいい成績を修めていることが求められます。第二種は第一種よりも基準が緩やかではありますが、それでも奨学金を貸与するにふさわしい成績であることが求められます。また、上記の貸与型奨学金は、国内だけでなく「海外留学」を希望する人でも利用できます。
続いて返済する必要のない「給付型」ですが、こちらは返済する必要がないほかに、「貸与型と比べ支給金額が安い」という特徴があります。例えばJASSOの給付型奨学金(平成30年度進学者用)では、2-4万円(国公立か私立か、自宅通いか下宿通いかなど条件で金額は異なる)と、貸与型よりも低い金額となっています。もちろん給付型奨学金の奨学生に採用されるためのハードルは高いので、誰でも気軽に利用できるものではありません。
■奨学金の申請はどうすればいい?
次は奨学金の申請についてです。例えばJASSOの奨学金制度では、
・学校を通じて申し込むパターン
・JASSOに直接申し込むパターン
の二つのパターンがあります。
学校を通じて申し込むパターンは、「予約採用」と呼ばれており、一般的にはこの方法で奨学金の申請を行います。予約採用は、学校で行われる奨学金の説明会で募集要項や採用基準などを確認した後に、申込書を提出。その後、審査が行われ、採用か否かが判定されます。
審査の結果、採用となった場合でも、「ちゃんとその大学に入学するか」がわかるまで本採用とはなりません。いったん「採用候補者」として扱われ、進学する学校に「進学届」を提出することで本採用となるのです。その後、「ちゃんと借りたお金を返します」といった内容の「返還誓約書」をJASSOに提出し、奨学金の手続きが完了します。
ちなみに奨学金の採用基準は「学力」と「家計」の二つの項目が設けられています。学力基準は、
●第一種
1.高等学校または専修学校高等課程の1年から申込時までの成績の平均値が3.5以上
2.高等学校卒業程度認定試験もしくは大学入学資格検定に合格した人、または科目合格者で機構の定める基準に該当する人
●第二種
1.高等学校または専修学校(高等課程)における学業成績が平均水準以上と認められる者
2.特定の分野において特に優れた資質能力を有すると認められる者
3.大学における学修に意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあると認められる者
4.高等学校卒業程度認定試験(大学入学資格検定)に合格した人、または科目合格者で機構の定める基準に該当する人
となっており、利息付きの第二種の方が基準としては緩やかになっています。
また家計面では「家計支持者の収入金額」が選考の対象となっており、「収入・所得の上限額の目安」は、
●第一種
3人世帯:657万円(給与所得以外:286万円)
4人世帯:747万円(給与所得以外:349万円)
5人世帯:922万円(給与所得以外:514万円)
●第二種
3人世帯:1,009万円(給与所得以外:601万円)
4人世帯:1,100万円(給与所得以外:692万円)
5人世帯:1,300万円(給与所得以外:892万円)
となっています。申請の際には、こうした採用基準を満たしているかどうかを確認することも重要です。
今回は、奨学金の種類と申請の方法をご紹介しました。奨学金を利用している人は年々増加しており、JASSOのデータによると、学生の「2.6人に1人」がJASSOの奨学金を利用しているそうです。みなさんの中にも、奨学金を利用して進学しようと考えている人もいるでしょう。その前に、奨学金の種類や採用基準などを知っておくといいですね。
参考:『独立行政法人 日本学生支援機構』(JASSO)
http://www.jasso.go.jp/
(中田ボンベ@dcp)