天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 中曽根康弘・蔦子夫人(下) (2/3ページ)

週刊実話



 こうした「風見鶏」ぶりに、中曽根派幹部だったのちに首相のイスにも座った宇野宗佑は、かつて筆者に次のような“助け舟”の弁を語っている。
 「日本人は伝統的な農耕民族だから、種まきや収穫のときは、風向きや天候の具合をつかまえなければいけない。つまり、日本人は本質的に『風見鶏』でなけりゃいかんのです。政治家も同様で、その時々の柔軟な対応をしていくのはしごく当然なことです。中曽根さんは、堂々、口にしていたナ。『偉大な政治家は偉大な風見鶏である』と」

 しかし、政治家である中曽根は言葉でどうにも切り返せるが、「風見鶏」批判の声が届く妻・蔦子は“忍道”を余儀なくされる。このあたりの蔦子の心情を、中曽根家と親しかったかつての政治評論家・三宅久之が、次のように筆者に語ってくれたことがある。
 「夫人は言っていましたね。『中曽根はちょっと“スタイリスト”なところがあるので、風見鶏だのタカ派などと言われていますが、私は信念居士だと確信を持っています。タカ派についても、本当は平和論者なんです。実の弟を特攻隊で戦死させているし、自分でも戦争の悲惨さをいやというほど味わっている。それが、なぜタカ派と決めつけるのか分かりません』と。
 夫人は中曽根がまだ陣笠の頃、選挙の応援で地元に入ったら『そんなにフダ(票)が欲しかったら土下座してみろッ』の声が飛んだとき、その場で泥道に本当に土下座もしてみせている。総理になったときも、中曽根派の議員から防衛問題、農業問題などを懸命に耳学問していた。熱心にノートを取っていた。まず、愚痴は言わない。歴代総理夫人の中でも、その気丈さと芯の強さは有数と言っていいのではないか」

 一方、中曽根はと言うと、こうした妻を「80点」として、ゼイタクな“採点”をしている。
 「自分は若い頃から夢中で仕事ばかりしてきて家庭をかえりみなかったから、まあ60点くらいの夫でもあった。妻は、80点止まりだナ。
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