世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第254回 人手不足のチャンスとリスク (1/3ページ)
12月26日に総務省が発表した完全失業率は、前月比0.1ポイント低下し、2.7%となった。何と1993年11月以来24年ぶりの低水準である。また、求職者と求人数の倍率である有効求人倍率は1.56倍。43年ぶりの高水準となった。
これだけ人手不足が深刻化しているにも関わらず、実質賃金は何と「マイナス」で推移。
12月22日に厚生労働省が発表した10月の毎月勤労統計調査確報値によると、物価の影響を加味した実質賃金(現金給与総額)は前年同月比0.1%減。これで、5カ月連続のマイナスである。筆者が重視する「きまって支給する給与」は、速報段階では+0.4%だったのだが、確定値は±ゼロ%に下方修正された。
恐ろしいことに決まって支給する給与は、昨年の9月を最後に、一度もプラス化したことがない。過去13カ月間、日本国民の「決まって支給される」実質賃金は、横ばいもしくはマイナスが続いているのだ。実質賃金が低迷しているということは、生産性の向上が起きていないという話になる。もしくは労働分配率が上がっていないのだ(※実質賃金は「生産性」と「労働分配率」により決定される)。
現在の有効求人倍率は、バブル期をすら上回っている。それにも関わらず、生産者の実質の所得は減少。「おかしい」と、思わない方がおかしいというものだ。
人手不足が深刻化しているのは、もちろん少子高齢化に端を発する生産年齢人口比率の低下によるものだ。しかも、現在は人口のネックである団塊の世代が退職時期を迎えており、退職者が激増している。反対側で、少子化の影響により若者が労働市場に入ってこない。
しかも、いまだにデフレマインドを払拭できない企業は、労働分配率を引き上げる、あるいは生産性向上を追求するのではなく、
「高齢者を短時間低賃金労働者として再雇用し、さらに女性を短時間低賃金労働のパートタイマー・アルバイトとして雇用し、穴を埋める」
という雇用スタイルを採っている。結果、有効求人倍率の異様な上昇と、実質賃金の低迷が両立しているのだ。
左図(※本誌参照)の通り、第二次安倍政権が始まった2013年1月と比較すると、高齢者の就業者数は199万人増加、女性が225万人増加、そして生産年齢の男性就業者が、何と40万人の減少。