鈴木哲夫の政界インサイド「阪神・淡路大震災の復興は道半ば」 (2/2ページ)
当時、取材した長岡市役所担当者はこう話した。
「時間をかけることは、復旧・復興を急ぐという行政の使命とは矛盾するかもしれないが、慣れ親しんだ場所を離れることを住民自身が決心して初めて前へ進めるのではないか。少なくとも、その後、復興住宅に移っても頑張って生活できる。被災者の心に寄り添うというのは、そういうことだと思っている」
危機管理のエキスパートと呼ばれた故・後藤田正晴氏は、阪神・淡路大震災当時、右往左往していた、自社さ政権の村山富市首相に、
「天災はしかたがない。しかし、そこから先に起きたことは全て人災。やれることは何でもやれ。それは政治の責任だ」
と覚悟を迫った。被災した住民には何の罪もない。震災によって突然、人生を変えられただけだ。
23年たった今でも、政治の役目は終わっていない。救えない被災者がいるのなら、まさに「政治による人災」と言えるだろう。
先の孤独死に対して、見守りの仕組みなどが見直され縮小されつつあるという。最後の一人まで、時間をかけて寄り添う姿勢を、もう一度、国や自治体が心する節目としてほしい。
ジャーナリスト・鈴木哲夫(すずき・てつお):58年、福岡県生まれ。テレビ西日本報道部、フジテレビ政治部、日本BS放送報道局長などを経てフリーに。新著「戦争を知っている最後の政治家中曽根康弘の言葉」(ブックマン社)が絶賛発売中。