人間の神経細胞そのままに振る舞うチップが開発される(アメリカ研究) (2/3ページ)

・ハードルを越えた人工シナプス
もしチップがシナプス的な結合を利用するなら、コンピューターが利用できる信号の種類はずっと多くなり、シナプスのような学習が可能になる。
シナプスは脳内に伝達される信号を仲介し、神経細胞はその数とシナプス間を流れるイオンの種類に応じて発火する。これは脳によるパターン認識、事実の記憶、課題の遂行といった作業を手助けする。
これまでそれを人工的に再現することは困難であった。しかしMITの研究者が設計したチップは、シリコンゲルマニウムでできた人工シナプスを搭載しており、そこを流れる電流の強弱を、神経細胞がイオンを調整するのと同じように、正確にコントロールすることができる。
従来の神経形態学的チップは、2枚の導電層がシナプスのように振る舞う”スイッチ媒体”としての非晶質で区分されるという構造をしていた。
スイッチがオンになると、媒体をイオンが流れ、導電フィラメントを作り出し、シナプス荷重(2つの神経細胞間の信号の強弱)が再現される。
しかしこのやり方は、ガイドとなる明確な構造がないため、信号は無限の経路を持ってしまう。そのためにチップの性能が安定せず、予測しにくいものとなる。
「人工神経細胞にデータとしての電圧をかけたら、それをまったく同じように消去し、書き換えられねばなりません。非晶質固体の場合、再度書き込むと、いくつもの欠陥のせいでイオンがいろいろな方向に向かってしまいます。この流れは変わりやすく、制御困難です。これが最大の難関でした」と研究者リーダーのジーワン・キム(Jeehwan Kim)博士は説明する。
・シリコンゲルマニウムの格子で人間の神経細胞を模写
その解決策として開発されたのがシリコンゲルマニウムの格子である。