人間の神経細胞そのままに振る舞うチップが開発される(アメリカ研究) (1/3ページ)
最先端の人工知能分野で活躍する人にとって、コンピューターで脳の活動をシミュレーションすることは極めて難しい課題である。しかし、コンピューターを脳のハードウェアと同じように設計できれば、それも容易になるかもしれない。
これを試みる新しい分野のことを「神経形態学的コンピューティング(neuromorphic computing)」という。
そして米マサチューセッツ工科大学(MIT)のエンジニアたちは大きなハードルを越えたのかもしれない。人工シナプスを持つチップを設計したのだ。
・人間の脳の神経細胞の活動とコンピューターを比較
現時点で、人間の脳はいかなるコンピューターにも勝る性能を備えている。脳は800億もの神経細胞とそれらを結合する100兆を超えるシナプスを持ち、信号の流れを制御している。
一方、コンピューターチップは「バイナリー」という言語シグナルを伝達することで機能する。そこでは、あらゆる情報が1と0、すなわちオンとオフという状態で記録されている。
両者の違いを比較するために、2013年にスーパーコンピューターを利用したある実験が実施された。
理化学研究所の「京」は、82,944個のプロセッサーとペタバイトのメインメモリーを搭載する、当時のデスクトップPC25万台に相当する性能を誇るスーパーコンピューターだ。
その京は、10.4兆のシナプスが結合された17億3000万の神経細胞が1秒間に行う活動をシミュレートするために40分を要した。ちなみに、この脳の活動は膨大な量に思えるが、人間の脳のわずか1パーセント分に過ぎない。