鈴木哲夫の政界インサイド「白根山噴火で露呈した“政治の怠慢”の理由」 (2/2ページ)
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太田一也
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週刊アサヒ芸能 2018年 2/15号
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鈴木哲夫
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火山
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噴火
現在、火山については気象庁の所管だが、とりあえず火山噴火予知連という学者や内閣府、国交省河川局、その他関係者が参加する組織を設置しているものの、我が国に一元化した火山に関する行政組織があるわけではない。ある火山学者がこう指摘する。
「イタリアやフィリピンなど、火山国はいわゆる火山庁のような組織を設置しています。専門的に研究、調査、さらには予測も行う。当然、予算も一元化されており、避難命令も長官が責任を持って発することになっている。日本は火山国でこれだけ犠牲者も出していながら、こうした行政の体制作りに取り組んでいない。これは政治の責任です。必ずどこかの火山が突然、噴火するわけですから、このままでは犠牲者が出て、同じ批判が繰り返されるだけです」
なぜ政府の取り組みに積極性が足りないのか。自民党ベテラン議員が嘆く。
「票や利権につながらないからですよ。何百年に一度あるかないかの火山問題を一生懸命やっても票になるわけではない。予算も少ないから関連業者にうまみもなければ、広がりもない」
まさに政治の怠慢だ。そろそろ本腰を入れて、日本は火山と向き合わねばならないことを、新春早々から露呈したのだ。
ジャーナリスト・鈴木哲夫(すずき・てつお):58年、福岡県生まれ。テレビ西日本報道部、フジテレビ政治部、日本BS放送報道局長などを経てフリーに。新著「戦争を知っている最後の政治家中曽根康弘の言葉」(ブックマン社)が絶賛発売中。