鈴木哲夫の政界インサイド「白根山噴火で露呈した“政治の怠慢”の理由」 (1/2ページ)

アサ芸プラス

鈴木哲夫の政界インサイド「白根山噴火で露呈した“政治の怠慢”の理由」

 自民党には火山噴火予知・対策推進議員連盟がある。同議連メンバーである自民党議員が言う。

「熱心なのは選挙区に火山を抱える議員ぐらいで、政府や国会では火山への対応が決定的に遅れている」

 まさに、本白根山(群馬県)の噴火で犠牲者が出たことは、噴火対応の遅れを如実に物語っている。草津国際スキー場に噴石が落下。訓練中の陸上自衛隊陸曹長が死亡し、隊員とスキー客の計11人が重軽傷を負った。4年前の58人が犠牲となった御嶽山噴火。「その反省は生かされたのか」と問えば、「残念ながら‥‥」(前出・自民党議員)という答えが返ってきた。

 日本は火山国でありながら、国民の知識、噴火への備えが足りていない。かくいう私もそうだった。

 91年、長崎県の雲仙普賢岳が噴火。火砕流が発生して43人が亡くなった。記者として取材に当たったが、当時は専門記者以外のマスコミは、おおむね不勉強。火砕流という言葉すら知らなかった。それは政府も同様で、十分な警戒態勢が敷かれていたとは思えなかった。取材時に、火山研究者の九州大学・太田一也教授(当時)が、「噴火予知研究の予算もない」とこぼしていたことを、昨日のことのように思い出す。

 この間、政治はいったい何をやってきたのか──。

 雲仙以降、多くの火山噴火予知連の研究者、気象庁関係者を取材してきた。その経験から、今回の噴火の背景にある三つの問題点を指摘したい。

 一つは、火山噴火予知という学問が発展途上であるということ。今回の噴火の場所も「前回の噴火は3000年前」などと言われるように、過去のデータが不足している。今後は大学の学部新設などのハード面だけでなく研究者育成にも、政府が本気になって支援していかなければならない。

 二つ目は、国の火山対策に関する予算が少ないという点だ。地震に比べると規模が小さいうえに、各省庁がバラバラに予算を計上し、使いみちにも統一性がない。本白根山の噴火場所に監視カメラがなかったというが、それは「欲しいところにカメラを全部設置する予算がない」(気象庁幹部)ということだ。

 そして最後は、行政組織が脆弱極まりないということだ。

「鈴木哲夫の政界インサイド「白根山噴火で露呈した“政治の怠慢”の理由」」のページです。デイリーニュースオンラインは、太田一也週刊アサヒ芸能 2018年 2/15号鈴木哲夫火山噴火社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
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