秋津壽男“どっち?”の健康学「年を重ねるごとに悩まされる運動不足の解消法。スクワットと腹筋ではどちらが必要な運動?」 (1/2ページ)
健康で長生きするために運動をする高齢者は少なくないでしょう。体を動かすことで体力や持久力が身につくばかりか、心肺機能も鍛えられます。1日30分ほど運動している人は、喫煙者が禁煙をするのと同じぐらい有益であると言われています。一説では、30分の運動を週6日行うと死亡率が40%も減少するという研究結果もあるほど。高齢者にとって運動は、老化防止に最適なのです。
では、ここで問題です。健康維持に効果があるのは、腹筋とスクワットではどちらがより適しているでしょうか。
腹周りや腰周りの筋肉を鍛える腹筋は便秘改善にも役立ち、腹式呼吸も上手にできるようになります。
一方、足の筋肉を鍛えるスクワットは心機能の改善にも効果があります。体の中でいちばん大きな筋肉である太腿(大腿四頭筋)を鍛えるのと同時に、太腿の下にあるふくらはぎ(下腿三頭筋)にも効果を与えます。特にふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれています。人間の下半身には血液の7割が集まっており、足腰に滞りやすい血液を、重力に逆らってポンプのように心臓へ送り返す役割を果たしています。ふくらはぎの筋肉の収縮により血液は心臓に戻されるわけですが、ふくらはぎの筋肉が衰えると、筋肉が収縮しにくくなり、下半身の血液が心臓へ戻りにくくなります。すると足がむくんだり体調を悪化させます。
こうした症状を防止して健康を維持する点で、スクワットのほうが効果的だと言えます。
また、近年では健康年齢を考えるうえで、ロコモ・シンドロームも注目されています。いくら上半身が元気でも下半身が衰退してしまうと移動することが面倒になってしまい、出不精になることも。そうなると周囲とのコミュニケーションが取れなくなり、認知症のリスクが高まる結果にもなりかねません。つまり、腹筋よりスクワットで下半身を鍛えることのほうが、生活面でも重要となります。
ただ、下半身だけのトレーニングと思われがちなスクワットですが、背中や腕の筋肉まで刺激する全身トレーニングです。筋肉量を増やす運動と考えた際、腹筋500回はスクワット15回に相当するとも言われています。高いエネルギーを要して脂肪が燃焼された結果、足全体が引き締まり、スタイルもよくなるなど、スクワットにはダイエット効果もあります。