NGT48・北原里英が誘拐監禁されるヤバい映画「サニー/32」

まいじつ

NGT48・北原里英が誘拐監禁されるヤバい映画「サニー/32」

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『サニー/32』

配給/日活 新宿バルト9ほかにて2月17日から全国公開中
監督/白石和彌
出演/北原里英、リリー・フランキー、ピエール瀧、門脇麦ほか

元『AKB48』で、2016年から新潟を拠点とする『NGT48』のキャプテンを務める北原里英が、女性教師に扮し、異常な中年男性2人組に拉致監禁される恐怖と反撃を描いた異色サスペンス。

監督が『凶悪』(2013年)、『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017年)などの白石和彌なので、かなり悪意に満ちた刺激作となったが、ボクはこういうの好きだね。アイドルなのに、誘拐されて縛られて落花狼藉(らっかろうぜき)される受難のヒロインを体当たりで演じた北原も、アイドルのリミットを超えていて称賛に値する。主演のアイドルを、精神も肉体も極限まで追い詰めてこそ“真のアイドル映画”と言う白石監督の言やヨシ。近ごろの微温的キラキラ・アイドル映画とは全然違うのだ。撮影現場は新潟の豪雪地帯、極寒の中の撮影にも北原は耐え、本気度を示したそうだ。

24歳の誕生日を迎えたが鬱屈した日常を送る中学教師・赤理(北原)は、ふたりの中年男に突然さらわれ、雪深い山あいの廃屋に拉致監禁されてしまう。「ずっと。会いたかったんだよ、サニー」と赤理を呼ぶ不気味な男たち。サニーとは十数年前に起きた『小学生による同級生殺人事件』の犯人の小学生女子の通称で、その後、ネットで神格化し、このふたりの中年男のようなカルト的信者を多く生み出した。そのサニーの成長した今が赤理だというのだが…。

白石監督らしい「ヤバい映画」

とにかく、不気味な中年男を演じるリリー・フランキー、ピエール瀧が最強(最恐、最狂と書いてもいい)でド迫力! ホントにコイツら狂っていると思わせるほど。ともすれば彼らに圧倒されてしまいかねない北原が、血まみれ、汗みどろでこれに拮抗、反撃するのだから立派。「前から白石監督作品のファン」、「大好きな『凶悪』のコンビでもあるリリーさんとピエールさんにいじられてテンションMAX!」とかの北原コメントは決してサービス・トークではなく、本音と見たね。加えて言えば、途中参加する門脇麦もハンパない。

これは一種のダーク・ファンタジーとも取れる。後半のヒロインのなりふり構わぬ脱出のくだりは、外国のホラー映画の伝説的傑作『悪魔のいけにえ』(1974年)を彷彿とさせ、大いに興奮させられた。

白石監督はこのあと5月に、警察対組織暴力を描いたアウトロー映画『孤狼の血』があり、こちらも大傑作! 今や“ヤバい映画”を撮らせたら当代一。北原も、いい監督に映画初主演作を手掛けてもらったものだ。もはや怖いもんナシだろう。

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